任意整理をすると会社に知られてしまうのか
借金の整理を考え始めたとき、多くの方が真っ先に心配するのが「勤務先に知られてしまわないか」という点です。毎日顔を合わせる同僚や上司に借金のことが伝わってしまったら、と想像すると、相談に踏み出すこと自体をためらってしまうのも無理はありません。
結論からお伝えすると、任意整理は手続きの仕組みのうえで、会社に知られる可能性は比較的低い方法だと考えられます。ただし、「どんな場合でも会社に伝わらない」と言い切れるわけではなく、いくつかの例外的な場面では発覚につながることもあります。この記事では、なぜ知られにくいのか、その理由をかみ砕いて説明したうえで、注意しておきたい場面と対処の考え方を順番に解説します。
なぜ任意整理は会社に知られにくいのか
任意整理が会社に伝わりにくいのには、手続きそのものの性質に理由があります。ポイントを一つずつ見ていきましょう。
裁判所を通さない手続きだから
任意整理は、裁判所を介さずに、依頼を受けた専門家が債権者(お金を貸した会社)と直接交渉する手続きです。これに対して個人再生や自己破産は裁判所を利用する手続きで、手続きの過程で「官報」という国の機関誌に氏名や住所が掲載されます。任意整理ではこの官報への掲載がないため、公の記録から第三者に知られる経路が生じません。一般の会社が日常的に官報をチェックしていることはまずありませんが、そもそも載らないという点は安心材料の一つです。
受任通知で督促の窓口が切り替わるから
司法書士などの専門家に依頼すると、各債権者へ「受任通知」が送られます。これは「今後の窓口は専門家になりました」と知らせる通知で、これを受け取った債権者は、原則として本人への直接の電話や郵便による取り立て(督促)を控えるようになります。自宅や携帯電話への督促が落ち着くことで、家族や周囲に気づかれるきっかけ自体が減るというわけです。やり取りが専門家経由に一本化されるため、勤務先に連絡が入るような事態も通常は避けられます。
勤務先への連絡が原則として行われないから
受任通知を受け取った後の債権者は、専門家を通じて連絡を取り合うのが基本です。そのため、貸金業者などが本人の勤務先へ電話をかけて借金の事実を確認するといったことは、通常は起こりません。会社宛てに督促状や書類が届くこともないため、社内で知られる経路は限られます。
それでも会社に知られる可能性がある場面とは
とはいえ、状況によっては会社に関係する形で発覚することもあります。あらかじめ知っておけば、相談の段階で対策を考えやすくなります。代表的なケースを挙げます。
すでに給与の差押えを受けている場合
借金を長く滞納していると、債権者が裁判を起こし、給与の一部を差し押さえる手続きに進むことがあります。給与差押えが行われると、裁判所から勤務先へ通知が届くため、この時点で会社に事情が伝わることになります。差押えは任意整理を始める前から進んでいる場合があるため、督促や裁判所からの書類が届いている方は、早めに相談しておくことが大切です。
勤務先からの借入(社内貸付)を対象に含める場合
会社の福利厚生制度や社内貸付で勤務先からお金を借りているケースでは、その借入を任意整理の対象に含めると、当然ながら会社に交渉の連絡が入ります。ただし、任意整理は整理の対象とする債権者を選べる手続きで、一社ずつ対象を決められます。勤務先からの借入をあえて対象から外し、それ以外の消費者金融やクレジットカード会社だけを整理するといった調整ができる場合もあります。どの借入を対象にするかは、家計全体のバランスを見ながら判断します。
社会保険料や税金の滞納が関係する場合
税金や社会保険料の滞納は任意整理の対象にはできず、別の対応が必要になります。これらの滞納から給与差押えなどに発展すると、勤務先が関わる可能性があります。借金以外の支払いに遅れがある場合は、その点もあわせて相談時に伝えておくと、全体像をふまえた進め方を検討できます。
知られずに進めるために心がけたいこと
発覚のきっかけを減らすには、いくつかの工夫が考えられます。たとえば、事務所からの郵便物や連絡方法について、自宅以外の受け取りや携帯電話への連絡を希望できるか、相談時に確認しておくとよいでしょう。また、督促が会社に及ぶ前の早い段階で受任通知を送れるよう、滞納が深刻になる前に相談することも有効です。状況に応じた具体的な配慮の可否は、個別の事情によって異なります。
任意整理で知っておきたい注意点(デメリット)
会社に知られにくいという点だけでなく、任意整理にともなう影響もあわせて理解しておきましょう。判断材料としておもな注意点を整理します。
まず、任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれる状態になります。これにより、一定期間は新たな借入やクレジットカードの利用、各種ローンの審査が通りにくくなります。期間の目安は信用情報機関や状況によって異なりますが、永久に続くものではなく、一定の時間が経てば登録は消えていきます。
次に、保証人(連帯保証人)が付いている借入を任意整理の対象に含めると、債権者が保証人に対して一括での支払いを求める可能性があります。家族や知人に保証人を頼んでいる場合は、その借入を対象にするかどうかを慎重に検討する必要があります。なお、和解後の返済期間は3〜5年(36〜60回)程度の分割が一つの目安となりますが、回数や条件は債権者との交渉や個別の事情によって変わります。どの債権者を対象にするかを含め、相談の段階でよく検討することが大切です。
ご相談にあたって
司法書士法人 福間事務所は認定司法書士が在籍し、債権者1社あたりの債務額が140万円以下の任意整理について代理権限の範囲内で対応します。1社あたり140万円を超える事案は司法書士の代理権限の範囲外となるため、無料相談で個別にご確認ください。減額後の返済額の概算や見通しについても、無料相談で個別にご確認いただけます。
なお、個人再生・自己破産は書類作成のサポートであり、代理人として対応するものではありません。これらの手続きが向いている場合の進め方についても、相談のなかでご案内します。
当事務所では債務整理に関する初回のご相談を無料で承っています。任意整理で将来利息のカットや分割回数の見直しができるかどうかは、債権者との交渉や個別の事情により異なり、特定の結果をお約束するものではありません。まずは借入や家計の状況、勤務先との関係などをお伺いしたうえで、ご相談者お一人おひとりに合った手続きをご案内します。会社に知られたくないという不安も含めて、お気軽にお聞かせください。