任意整理をすると選挙権はなくなるの?

「借金を整理すると、選挙の投票に行けなくなるのではないか」「市民としての権利を失うのではないか」——債務整理を考え始めた方から、こうした不安の声を聞くことがあります。結論からお伝えします。任意整理をしても、選挙権(投票する権利)も被選挙権(立候補する権利)も失われることはありません。

なぜそう言い切れるのでしょうか。理由はシンプルです。任意整理は、借入先(債権者)と直接話し合って、これから先の利息や返済の回数を見直してもらう手続きです。あくまでお金の返し方を調整する経済的な手続きであって、その人が政治に参加する権利とは、制度のうえでまったく結び付いていないからです。「借金を整理した人は投票できない」といったルールは、どこにも存在しません。

自己破産や個人再生でも選挙権は失われない

ここには、実は二段構えの誤解が隠れています。一つ目は「任意整理で選挙権を失う」という誤解、二つ目は「より重い手続きである自己破産や個人再生なら失うのではないか」という誤解です。どちらも事実ではありません。

任意整理に限らず、自己破産や個人再生を行った場合でも、それを理由に選挙権が失われることはありません。借金を整理するという経済上の手続きと、選挙権という政治上の権利は、別々の法律・別々の枠組みで扱われています。「どの手続きを選んだか」によって投票できる・できないが変わる、ということはないと考えておいて差し支えありません。

では、選挙権が制限されるのはどんなとき?

そもそも選挙権や被選挙権が制限される場面は、公職選挙法という法律にきちんと定められています。たとえば一定の犯罪で刑罰を受けた場合などが、その代表例です。いずれも債務整理とは無関係の事由であり、「借金を整理したこと」や「返済が滞ったこと」は、制限事由のどこにも挙げられていません。

言い換えると、選挙権の制限は「法律で限定列挙された特定の事情」がある場合に限られます。任意整理はそこに含まれていないため、任意整理をしたことで投票に行けなくなったり、立候補ができなくなったりすることはありません。

「破産すると選挙権を失う」という俗説はどこから来たのか

「自己破産をすると選挙権を失う」という話を、どこかで耳にしたことがある方もいるかもしれません。これは現在の制度のもとでは誤りです。古い時代の制度をめぐる話が断片的に語り継がれ、いつの間にか「破産=選挙権を失う」というイメージだけが独り歩きしてしまったもの、と考えられます。

大切なのは「今のルールではどうか」という点です。現在の公職選挙法のもとでは、自己破産を理由に選挙権が制限されることはありません。破産でさえそうなのですから、それより影響の小さい任意整理であれば、なおのこと選挙権を心配する必要はない、と理解していただいて構いません。

選挙権のほかにも「実は影響しない」誤解されがちな事柄

選挙権と同じように、「任意整理をすると制限されるのでは」と誤解されやすいものの、実際には影響を受けない事柄がいくつもあります。たとえば次のようなものです。

・資格や職業への影響(任意整理を理由に資格を失うわけではありません) ・戸籍や住民票への記載(任意整理をしたことは戸籍や住民票には載りません) ・官報への掲載(任意整理では官報に名前が載ることはありません)

このように、私生活上の公的な権利や記録は、任意整理によって基本的に影響を受けません。「何が影響しないのか」をあらかじめ知っておくと、漠然とした不安の輪郭がはっきりし、必要以上に身構えずにすみます。

それぞれの詳しい考え方は、資格・職業への影響については「任意整理と資格制限」、戸籍・住民票については「任意整理と戸籍・住民票」、官報については「任意整理と官報」で個別に解説しています。気になる項目があれば、あわせてご確認ください。

一方で、知っておきたい「影響がある事柄」

選挙権をはじめとする公的な権利には影響しない一方で、任意整理にも気をつけておきたい点はあります。代表的なのが信用情報への登録、いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれる状態です。任意整理をすると、その情報が信用情報機関に一定期間記録され、その間は新たな借入やクレジットカードの審査が通りにくくなることがあります。

ここで大事なのは、「影響しない事柄」と「影響する事柄」をきちんと切り分けて理解することです。選挙権のように心配のいらないものまで不安に思う必要はありませんし、逆に信用情報のように実際に注意したい点は、あらかじめ把握しておくほうが安心して手続きを進められます。過度に怖がりすぎず、かといって楽観しすぎず、事実をもとに判断していきましょう。

選挙権が気になって相談をためらっている方へ

司法書士法人 福間事務所には認定司法書士が在籍しており、債権者1社あたりの債務額が140万円以下の任意整理について、代理権限の範囲内で対応しています。1社あたり140万円を超える事案は司法書士の代理権限の範囲外となりますので、まずは無料相談で個別にご確認ください。減額後の返済額の概算や今後の見通しについても、無料相談のなかで具体的にお伝えできます。

なお、個人再生・自己破産については、書類作成のサポートを行うものであり、代理人として対応するものではありません。

当事務所では、債務整理に関する初回のご相談を無料で承っています。任意整理で将来利息のカットや分割回数の見直しができるかどうかは、債権者との交渉や個別の事情によって異なり、特定の結果をお約束するものではありません。借入や家計の状況をていねいにお伺いしたうえで、ご相談者お一人おひとりに合った手続きをご案内します。選挙権をはじめ「これは大丈夫だろうか」という小さな疑問も、遠慮なくお寄せください。