「年金で生活しているけれど、借金の返済が苦しい。任意整理をしたら、頼みの綱の年金まで止められてしまうのではないか」——そんな不安から、相談に踏み出せずにいる方は少なくありません。年金は毎月の暮らしを支える大切な収入ですから、心配になるのは当然です。この記事では、任意整理が年金の受給や差押えにどう関わるのか、そして年金収入で返済を続けるときに気をつけたい点を、できるだけ専門用語をかみ砕いて整理します。

任意整理をすると年金は止まるのか?

結論からお伝えすると、任意整理をしたことを理由に、国から支給される年金が止まることは基本的にありません。まず前提として、任意整理がどのような手続きなのかを確認しておきましょう。

任意整理とは、裁判所を通さずに、債権者(お金を貸している会社)と直接話し合い、これからの返済条件を見直してもらう手続きです。あくまで「借入をどう返していくか」を調整するものであって、あなたの収入そのものに手をつける手続きではありません。

公的年金は、老後の生活や、障害・遺族の方の暮らしを支えるために国から支給される収入です。任意整理は、この年金の支給を止めたり、受給する資格を失わせたりする性質のものではありません。たとえば「借金を整理したから来月から年金が振り込まれなくなる」といったことは、原則として起こらないと考えてよいでしょう。年金を受け取りながら借入の整理を検討している方も、年金が受け取れなくなること自体を心配する必要は、基本的にありません。

年金は差し押さえられてしまうのか?

「返済が滞ったら、年金を差し押さえられるのでは」という不安もよく聞かれます。ここで知っておきたいのが、「差押禁止財産(さしおさえきんしざいさん)」という考え方です。

差押禁止財産とは、生活を維持するために必要だとして、法律上、原則として差し押さえることが禁じられている財産のことです。公的年金は、この差押禁止財産にあたるとされています。つまり、年金そのものが借金を理由に差し押さえられるということは、原則としてありません。

さらに、任意整理は先ほど述べたとおり裁判所を通さない、債権者との直接交渉です。財産を差し押さえることを前提とした手続きではありませんから、任意整理を進めること自体が差押えにつながるわけでもありません。なお、差押えが禁止される具体的な範囲や、その根拠となる条文の細かい部分は、個々の事情によって変わってきます。ご自身のケースで気になる点があれば、無料相談で個別にご確認ください。

障害年金・遺族年金を受給中でも任意整理はできる?

「自分が受け取っているのは老齢年金ではなく障害年金(遺族年金)だが、それでも任意整理はできるのか」と気にされる方もいます。結論として、年金の種類によって任意整理ができなくなるということはありません。老齢年金はもちろん、障害年金や遺族年金を受給している方でも、任意整理を検討することは可能です。

任意整理で大切になるのは、年金の種類そのものよりも、「整理したあとの毎月の返済額を、無理なく支払い続けられるかどうか」という点です。これは、年金を含む収入や、毎月の生活費といった家計全体の状況をふまえて、一人ひとり個別に検討していくことになります。

年金が振り込まれる口座は注意が必要

見落とされがちですが、注意しておきたいのが「年金の振込口座」です。年金を受け取っている口座が、たまたま借入のある銀行・金融機関の口座になっている場合には、少し気をつける必要があります。

というのも、借入先である金融機関の口座は、任意整理を始めた状況によっては、一時的に入出金が制限されることがあるためです。年金が振り込まれる口座が使えなくなると、当面の生活費の出し入れに困ってしまいかねません。

幸い、任意整理は「どの債権者を整理の対象にするか」を選べる手続きです。そのため、たとえば年金の受け取りに使っている口座の金融機関は対象から外す、あるいは、あらかじめ年金の振込先を借入のない別の金融機関の口座へ変更しておく、といった備えを検討できます。どのように進めるのが安全かは個別の事情によって変わりますので、口座の状況も含めて相談時にお伝えいただくとスムーズです。

安心しすぎないために|年金収入で返済を続けられるか

ここまで、「年金は止まらない」「原則として差し押さえられない」というお話をしてきました。これは確かに安心できる材料です。ただ、もう一歩踏み込んで考えておきたいことがあります。それは、任意整理は借金そのものが帳消しになる手続きではない、という点です。

任意整理では、これまでにふくらんだ将来利息を見直してもらえる可能性はありますが、借りた元金(がんきん)は原則として残ります。そして整理後は、その残った元金を、通常3〜5年(およそ36〜60回)程度に分けて、コツコツ返済を続けていくことになります。

ここで考えたいのが、毎月の家計です。たとえば収入が老齢年金のみで、そこから家賃や食費・医療費といった生活費を差し引くと、返済に回せるお金がごくわずかしか残らない——こうしたケースでは、任意整理で何年も返済を続けること自体が、現実には難しいこともあります。「年金が守られる」ことと「年金収入で返済しきれる」ことは別の問題だと、整理して考えておくことが大切です。

返済の継続が難しい場合はどうする?

もし、年金収入では返済を続けるのが難しいと見込まれる場合には、任意整理にこだわらず、個人再生や自己破産といった別の手続きを検討するほうが、結果的にご本人の生活再建につながることもあります。

どの手続きが向いているかは、借入の総額、年金を含めた収入、家計の状況、保有している財産など、さまざまな個別事情によって変わってきます。一律に「年金生活ならこの手続き」と決まるものではありません。年金を受給中の方にとってどの手続きが適しているかは、無料相談で借入や家計の状況をお伺いしたうえで、一つひとつ整理しながら個別にご案内します。まずは現状を話してみることが、解決への第一歩になります。

信用情報や家族への影響など、整理を始める前に知っておきたい点もあわせてご覧ください。

ご相談にあたって

司法書士法人 福間事務所には認定司法書士が在籍しており、債権者1社あたりの債務額が140万円以下の任意整理について、代理権限の範囲内で対応します。1社あたり140万円を超える事案は、司法書士の代理権限の範囲外となりますので、対応の可否や進め方については無料相談で個別にご確認ください。減額後の返済額の概算や今後の見通しについても、無料相談のなかで個別にご確認いただけます。

なお、個人再生・自己破産については、書類作成のサポートを行うものであり、代理人として対応するものではありません。

当事務所では、債務整理に関する初回のご相談を無料で承っています。任意整理で将来利息のカットや分割回数の見直しができるかどうかは、債権者との交渉や個別の事情によって異なり、特定の結果をお約束するものではありません。年金や家計の状況をお伺いしたうえで、ご相談者一人ひとりに合った手続きを一緒に考え、ご案内します。