年金生活でも任意整理はできる?
「収入が年金だけになったから、もう借金は整理できないのではないか」——返済が苦しくなったときに、こう感じて相談をためらう方は少なくありません。給与のように毎月決まった額が入ってくる現役世代と違い、年金生活では収入の上限が見えているぶん、「これ以上どうにもならない」と思い込みやすいのも自然なことです。
結論から言うと、年金生活でも任意整理を検討できる場合はあります。任意整理は、これからかかる利息(将来利息)のカットや返済回数の組み直しによって毎月の返済額を抑え、無理のない範囲で分割して返していく手続きです。年金収入であっても、生活費を差し引いたうえで「減額後なら払っていけそう」という見込みが立つのであれば、選択肢として検討できます。まずは「年金だからできない」と決めつけず、収入と返済のバランスを整理してみることが出発点になります。
判断の軸は収入の種類ではなく「返済原資があるか」
任意整理を進められるかどうかは、収入が給与か年金かという「種類」で決まるわけではありません。ポイントは、減額後の返済額を毎月コツコツと払い続けられるだけの返済原資(返済に回せるお金)があるかどうかです。たとえば、毎月の年金から食費・住居費・医療費などの生活費を差し引いて、なお返済に回せる余裕がどのくらい残るか——ここが見極めの中心になります。
そのため、同じ年金生活でも、年金額・毎月の生活費・借入の総額・債権者の数といった事情の組み合わせによって見通しは大きく変わります。「年金だから一律にできる/できない」と言い切れるものではなく、あくまで一人ひとりの家計の中身を見たうえでの判断になる、と考えておくとよいでしょう。
年金そのものは法律上差し押さえられない
「借金を整理したら年金が止められてしまうのでは」と不安に思う方もいますが、年金は法律上、差押えが禁止された財産(差押禁止財産)とされています。任意整理は裁判所を通さずに債権者と直接交渉する手続きであり、任意整理をしたことを理由に年金の支給が止まったり、年金そのものが差し押さえられたりすることはありません。受給している年金が削られるわけではない、という点はまず安心していただいてよい部分です。
ただし「年金が差し押さえられない」ことと、後述する「年金が振り込まれる口座の扱い」は別の話です。ここを混同すると判断を誤りやすいので、分けて理解しておくことが大切です。任意整理が年金の受給そのものに与える影響全般については、別記事「任意整理 年金 影響」でも整理していますので、あわせてご覧ください。
注意したいのは「年金振込口座」の扱い
年金そのものは差し押さえられない一方で、見落としやすいのが年金の振込口座です。年金が振り込まれる口座の金融機関(その金融機関がカードローンなどの債権者を兼ねている場合)を任意整理の対象に含めると、手続きの過程でその口座が一時的に凍結され、振り込まれた年金を一定期間引き出せなくなる時期が生じることがあります。
これは「年金が差し押さえられる」のとは別の問題です。年金は無事に振り込まれているのに、口座そのものが止まってしまうため、生活費の出し入れに支障が出てしまう——という状況です。生活の口座が一時的にでも使えなくなると、年金生活では特に困りやすいので、ここは事前の備えがものを言います。
対策としては、年金の振込口座は任意整理の対象に含めない金融機関にしておく、あるいは手続きの前に振込先をその金融機関以外へ見直しておく、といった配慮が考えられます。どの債権者を対象にするか、生活の口座をどう守るかは、家計の状況とあわせて事前に組み立てておくことが大切です。口座が凍結される仕組みや解除までの時期の目安については、別の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
減額しても返済の見通しが立たないときは
一方で、収入が老齢年金のみで、将来利息をカットして分割回数を見直してもなお毎月の返済の見通しが立たない、というケースもあります。たとえば借入総額に対して年金額が小さく、生活費を確保すると返済に回せるお金がほとんど残らないような場合です。こうしたときに無理に分割返済を続けようとすると、かえって生活そのものが立ち行かなくなるおそれがあります。
任意整理がどんな状況でも最適というわけではなく、家計の状態によっては個人再生や自己破産といった別の手続きを検討したほうがよいケースもあります。なお、当事務所では個人再生・自己破産については書類作成のサポートを行うものであり、代理人として対応するものではありません。年金収入が乏しい場合や収入がほとんどない場合の考え方については別の記事でも触れていますので、「年金でも大丈夫」と思い込みすぎず、まずは現状を数字で整理することをおすすめします。
実際にできるかどうかは個別事情によります
ここまで見てきたように、年金生活でも任意整理を検討できる場合はありますが、実際に進められるかどうかは、年金額・毎月の生活費・借入総額・債権者の数・口座の状況といった個別の事情の組み合わせによって変わります。一般的な目安だけで「できる」「できない」を判断するのではなく、具体的な数字をもとに見通しを確認することが、遠回りのようでいて確実な方法です。当事務所では、こうした見通しについて無料相談で個別にご確認いただけます。
ご相談にあたって
司法書士法人 福間事務所は認定司法書士が在籍し、債権者1社あたりの債務額が140万円以下の任意整理について代理権限の範囲内で対応します。1社あたり140万円を超える事案は司法書士の代理権限の範囲外となるため、無料相談で個別にご確認ください。減額後の返済額の概算や見通しも、無料相談で個別にご確認いただけます。
個人再生・自己破産は書類作成のサポートであり、代理人として対応するものではありません。
当事務所では債務整理に関する初回のご相談を無料で承っています。任意整理で将来利息のカットや分割回数の見直しができるかどうかは、債権者との交渉や個別の事情により異なり、特定の結果をお約束するものではありません。借入や家計の状況をお伺いしたうえで、ご相談者に合った手続きをご案内します。