「事業の運転資金が借入でふくらんでしまった」「毎月の返済が重く、仕入れや経費の支払いを圧迫している」——個人事業主や自営業の方からは、こうしたご相談を多くいただきます。会社員の方とは違い、事業用の口座や取引先との関係が絡むぶん、「自分の場合は任意整理できるのだろうか」と不安に感じる方も少なくありません。この記事では、事業を営む方が任意整理を検討するときに知っておきたいポイントを、順を追って整理します。
個人事業主・自営業でも任意整理はできる?
結論から言うと、個人事業主や自営業の方でも任意整理を検討できる場合があります。任意整理は、将来利息のカットや返済回数の見直しを債権者(お金を貸している側)と交渉し、減額後の金額を分割で返していく手続きです。裁判所を通さず、貸し手と直接話し合って和解を目指す点が特徴で、整理する相手(債権者)を自分で選べる柔軟さがあります。
ここで前提として大切なのが、「事業からの継続的な収入があり、減額後の分割返済を続けていける見込みが立つかどうか」です。任意整理はあくまで返済を続けていく手続きなので、毎月いくらなら無理なく返せるか、という資金繰りの見通しが判断のかなめになります。実際に進められるかは、事業の収支や借入の状況といった個別の事情によって変わってきます。
そして会社員の方と決定的に違うのが、事業用の口座や取引先との信用が関わってくる点です。ここを押さえずに進めると、事業の運営そのものに支障が出かねません。次から、事業者ならではの注意点を2つに分けて見ていきます。
注意点1:事業用口座が一時的に凍結されることがある
もっとも気をつけたいのが、口座の凍結です。任意整理の対象にした金融機関に事業用の口座があると、その口座が一時的に凍結され、入出金ができなくなることがあります。たとえば、借入のある銀行の口座を売上の入金先として使っている場合、その口座が止まると、取引先からの売上が受け取れない、経費の引き落としができない、仕入れ先への振込ができない、といった事態が起こりかねません。
なぜこうなるのかというと、銀行は借入(ローン)と預金口座をひとつの取引としてとらえており、返済が滞った債権を預金と相殺できる仕組みがあるためです。任意整理に着手した連絡が入ると、その金融機関の口座が一時的に使えなくなることがある、と理解しておくと安心です。
対策としては、事前に売上の入金口座や経費の引き落とし口座を、任意整理の対象にしない金融機関へ分けておくことが望ましいと考えられます。具体的には、借入のない別の銀行に事業用の入出金をまとめておく、給与振込や売上入金の口座を切り替えておく、といった準備です。どの口座を整理対象にするかは資金繰りに直結するため、着手前にご相談ください。口座凍結の一般的なしくみや解除までの流れについては、関連記事もあわせてご確認ください。
注意点2:取引先や事業ローンの信用に影響が出る場合がある
事業を続けるうえでは、取引先との掛け取引(後払いでの仕入れなど)による与信や、事業用のローン・リースを利用していることがあります。任意整理を行うと、その情報が信用情報機関に一定期間記録されます。これにより、こうした事業上の与信や、ローン・リースの新規審査・更新に影響が出る場合があります。
たとえば、設備をリースで使っている、運転資金を事業者向けローンで借りている、仕入れを後払い(掛け)でまかなっている、といったケースです。これらに関わる先を任意整理の対象に含めると、契約の見直しや更新で不利に働く可能性があります。
ここで活きるのが、任意整理が「整理する債権者を選べる」手続きだという点です。事業の継続に欠かせない取引先やリース契約は対象から外し、消費者金融やカードローンなど事業運営への影響が小さい借入を中心に整理する、といった組み立てが考えられます。ただし対象から外した借入の返済負担は残るため、家計と事業の両方の資金繰りをふまえて、どこまでを整理対象にするかを慎重に判断する必要があります。この線引きは専門的な判断を伴うため、無料相談で具体的にご確認ください。
収入が不安定で返済の見通しが立たないときは?
任意整理は、減額後の金額を継続して返していく手続きです。そのため、季節や受注で売上の波が大きく、減額してもなお毎月の返済を続けていく見通しが立ちにくい場合には、任意整理を進めることが難しくなりやすい面があります。
とはいえ、それで打つ手がなくなるわけではありません。事業や収支の状況によっては、ほかの手続きを含めて検討したほうがよいこともあります。どの方法が向いているかは一人ひとり違うため、自己判断で諦めず、まずは現状をお聞かせいただくことをおすすめします。
任意整理で減額できる金額や期間の目安は?
任意整理で和解できた場合、減額後の返済期間はおおむね3〜5年(36〜60回)の分割になることが一般的です。将来利息のカットや分割回数の見直しがどこまでできるかは、債権者との交渉や個別の事情によって変わるため、一律の数字をお約束することはできません。事業者の場合は、毎月いくらなら事業を回しながら返していけるか、という観点も含めて返済計画を組み立てていきます。
実際に任意整理ができるかは個別の事情によります
ここまで見てきたとおり、個人事業主・自営業の方が任意整理を進められるかどうかは、事業の収支、口座の構成、借入の内容や使いみちといった個別の事情によって異なります。事業を続けながら無理のない返済ができるかどうかも含め、実際の可否や進め方は無料相談で個別にご確認ください。事業を止めずに立て直す道がないか、一緒に整理していきます。
ご相談にあたって
司法書士法人 福間事務所は認定司法書士が在籍し、債権者1社あたりの債務額が140万円以下の任意整理について代理権限の範囲内で対応します。1社あたり140万円を超える事案は司法書士の代理権限の範囲外となるため、無料相談で個別にご確認ください。減額後の返済額の概算や見通しも、無料相談で個別にご確認いただけます。
個人再生・自己破産は書類作成のサポートであり、代理人として対応するものではありません。
当事務所では債務整理に関する初回のご相談を無料で承っています。任意整理で将来利息のカットや分割回数の見直しができるかどうかは、債権者との交渉や個別の事情により異なり、特定の結果をお約束するものではありません。借入や家計、事業の状況をお伺いしたうえで、ご相談者に合った手続きをご案内します。