「借金を整理したいけれど、家族や保証人に迷惑がかかる借入まで対象になってしまうのは困る」「カードは1枚だけ返済がきついので、その会社だけ何とかしたい」——任意整理を検討する方から、こうした声をよくお聞きします。実は任意整理は、整理する相手(債権者)を自分で選べる手続きです。この記事では、なぜ債権者を選べるのか、1社だけ選ぶとどうなるのか、費用や対象の決め方の注意点まで、順を追って解説します。

任意整理は債権者を「選んで」手続きできる

結論からお伝えすると、任意整理は整理する債権者を選んで進められる手続きです。借入先が複数あっても、そのうち1社だけを対象にすることもできます。

なぜ選べるのかというと、任意整理は裁判所を通さず、対象とする債権者と直接、返済方法を話し合って和解を目指す手続きだからです。「この会社と交渉する」という単位で個別に進めるため、どの借入を対象にするかを自分の事情に合わせて調整しやすいのが特徴です。

この点が、自己破産や個人再生とは大きく異なります。自己破産や個人再生は裁判所を使う手続きで、原則としてすべての借入をまとめて対象にする必要があり、一部だけを選ぶことは基本的にできません。「特定の借入だけを整理したい」というニーズに応えやすいのは、任意整理ならではの利点といえます。

債権者を選べると、どんなメリットがあるの?

対象を自分で選べることは、次のような場面で役立ちます。具体的なケースで見てみましょう。

保証人がついている借入を対象から外せる

たとえば、親や配偶者に保証人になってもらった借入があるとします。この借入を任意整理の対象に含めると、保証人に請求が向かう可能性があります。対象を選べる任意整理なら、保証人つきの借入だけを外し、それ以外の借入を整理するという調整ができます。身近な人に影響を及ぼしたくない場合に有効な考え方です。

住宅ローンや自動車ローンを残せる

住宅ローンを整理の対象にすると、家を手放さなければならない事態につながりかねません。自動車ローンも、返済中の車が引き上げられる原因になることがあります。こうした「残したい資産」に関わる借入を対象から外し、それ以外のカードローンや消費者ローンだけを整理する、という選び方ができます。残したい資産がある場合の考え方は、別の記事でも詳しく触れていますので、あわせてご覧ください。

対象にする社数が増えると費用も変わる

対象を選ぶうえで知っておきたいのが、費用との関係です。任意整理の費用は、対象とする債権者1社あたりで計算されることが多く、対象にする社数が増えると、その分だけ費用も積み上がっていく傾向があります。

「それなら社数を絞ったほうが得なのでは」と思われるかもしれません。ただし、対象から外した借入はこれまでどおり返済が続きます。費用を抑えるために対象を絞りすぎると、整理しなかった借入の返済が家計を圧迫してしまうこともあります。費用の安さだけで決めず、家計全体への負担と見比べて、どこまでを対象にするのが無理のない形かを考えることが大切です。費用の内訳の一般的な考え方は、費用について解説した記事もあわせてご覧ください。

1社の中の一部の借入だけ選ぶことはできる?

ここで注意したいのが、「会社単位」での取り扱いが原則だという点です。たとえば同じ会社でカードローンとショッピングリボの両方を使っている場合、片方だけを切り離して対象にするのは難しいことが多く、原則としてその会社との取引はまとめて整理することになります。

「会社は選べるが、会社の中の一部の契約だけを選ぶのは難しい」とイメージしていただくとわかりやすいでしょう。ただし、取り扱いは契約内容や会社の方針によって異なる場合があります。ご自身のケースで切り分けが可能かどうかは、無料相談で個別にご確認ください。

対象から外した借入はどうなる?

任意整理の対象に含めなかった借入は、これまでの契約のとおり返済を続けることになります。利息や毎月の返済額は基本的にそのままで、整理によって条件が変わるわけではありません。

対象を絞れば整理する社数は減りますが、その分、残した借入の返済はこれまでどおり続きます。「整理したから全体がぐっと楽になる」と考えるのではなく、対象外の返済も含めて毎月いくら払い続けるのかを確認したうえで、無理のない範囲を見極めることが重要です。

どの債権者を対象にすればいい?選び方の考え方

では、実際にどの債権者を対象にするのがよいのでしょうか。判断にあたっては、次のような点を総合的に見ていきます。

・保証人がついている借入かどうか(身近な人への影響を避けたいか) ・住宅ローンや自動車ローンなど、残したい資産に関わる借入かどうか ・金利が高く負担の大きい借入はどれか ・家計全体で、整理後に無理なく返済を続けられる社数はどこまでか ・信用情報への影響をどう考えるか

信用情報への影響の一般的な考え方は別の記事で、少額の借入から任意整理ができるかどうかも別の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。これらの事情は人によって優先順位が異なるため、ご自身に合った対象の選び方は、無料相談で個別にご検討いただくのが確実です。

ご相談にあたって

司法書士法人 福間事務所は認定司法書士が在籍し、債権者1社あたりの債務額が140万円以下の任意整理について代理権限の範囲内で対応します。1社あたり140万円を超える事案は司法書士の代理権限の範囲外となるため、まずは無料相談で個別にご確認ください。どの借入を対象にすると返済がどの程度変わりそうか、減額後の返済額の概算や見通しも、無料相談で一緒に確認していただけます。

なお、個人再生・自己破産は書類作成のサポートであり、代理人として対応するものではありません。

当事務所では債務整理に関する初回のご相談を無料で承っています。任意整理で将来利息のカットや分割回数の見直しができるかどうかは、債権者との交渉や個別の事情により異なり、特定の結果をお約束するものではありません。借入や家計の状況をていねいにお伺いしたうえで、ご相談者に合った手続きと、対象とする債権者の選び方をご案内します。