任意整理中に新たな借入はできる?

「任意整理の返済を続けている途中だけれど、急な出費が重なって生活費が足りない。もう一度どこかで借りられないだろうか」——手続き中の資金繰りに悩むと、こうした不安が頭をよぎるものです。まず結論からお伝えすると、任意整理の手続き中(専門家が債権者に受任通知を送ってから、和解後の返済が続いている間)に新たな借入をすること自体を、法律が一律に禁止しているわけではありません。

ただし、これは「借りてよい」という意味とは異なります。法律上の禁止がないこととは別に、現実の手続きの中では、新たな借入はいくつもの不利益を招きやすく、避けたほうがよい選択です。ここで言う「任意整理の手続き中」とは、おおむね次の期間を指します。専門家に依頼して債権者へ受任通知が送られた後、各社と返済条件の交渉(和解)を進めている間、そして和解がまとまり原則3〜5年(36〜60回)の分割返済を続けている間です。この記事では、なぜ借入を避けたほうがよいのか、その理由とリスクを順を追って整理し、借りる前にまず検討したい対応もご紹介します。

なぜ手続き中の借入は避けたほうがよいのか

理由1:信用情報に記録が残り、審査はほぼ通らない

任意整理を始めると、その情報が信用情報機関(クレジットやローンの契約・返済の履歴を管理する機関)に登録されます。いわゆる「ブラックリストに載る」と呼ばれる状態です。金融機関は新たな貸付やクレジットカードの発行を判断するとき、必ずこの信用情報を確認します。そのため手続き中は、新たなローンやカードの審査は通りにくい状況が続きます。

信用情報に記録が残る期間の考え方は、別の記事(任意整理とブラックリスト)でくわしく解説しています。手続き中は、新規の借入そのものが難しい状況にあるとお考えください。

なお、「審査が甘い」「誰でも借りられる」とうたう貸付には注意が必要です。仮にそうした先で借りられたとしても、金利が高かったり返済条件が厳しかったりして、かえって毎月の家計を圧迫するおそれがあります。「借りられる方法」を懸命に探すことが、結果として状況をさらに悪化させてしまうことも少なくありません。とくに、貸金業の登録がない違法な貸付(いわゆるヤミ金)には絶対に手を出さないでください。

理由2:交渉や専門家との信頼関係に支障が出ることがある

任意整理は、専門家が依頼者の代理人として、債権者と無理のない返済条件を交渉する手続きです。専門家は「これ以上は債務を増やさず、決めた条件で返済していく」という前提で各社と話を進めています。その最中や和解の前後に新たな借入をすると、この前提が崩れてしまいます。

具体的には、専門家との信頼関係に影響し、場合によっては専門家が辞任(依頼を引き受けられなくなること)に至ることもあります。辞任となれば、止まっていた督促が再開したり、自分一人で債権者と向き合わざるを得なくなったりと、状況が一気に厳しくなりかねません。

また、返済の見通しを立てて交渉を進めている途中で債務が増えると、債権者との和解の話そのものが進みにくくなったり、まとまりかけていた条件に影響が出たりするおそれもあります。手続きを円滑に進めるうえでも、新たな借入は避けることが望まれます。

理由3:借入を重ねると任意整理の効果が薄れてしまう

任意整理は、将来利息のカットや分割回数の見直しによって、毎月の返済の負担を軽くすることを目指す手続きです。せっかく負担を軽くしても、新たな借入を重ねれば債務全体がふたたび膨らみ、手続きの効果が薄れてしまいます。

たとえば、足りない生活費を借入で一時的に補ったとしても、翌月にはその返済が新たに加わり、資金繰りはさらに苦しくなります。借入で穴を埋める対応は、根本的な解決から遠ざかり、いわば「自転車操業」に陥る入り口になりがちです。一時しのぎではなく、収支そのものを立て直す視点が大切になります。

資金繰りが苦しいとき、借入の前に検討したいこと

この記事は「手続き中でも借りられる方法」をご案内するものではありません。新たな借入は実質的に難しく、また推奨できる選択でもないという前提で、まずは別の対応を検討することをおすすめします。具体的には、次のような選択肢があります。

返済が厳しいなら「再和解」を相談する

和解後の返済の途中でどうしても支払いが厳しくなった場合は、新たに借りるのではなく、いったん専門家に相談することが先決です。事情によっては、返済額や分割回数をもう一度見直す「再和解」を債権者と交渉できることがあります。詳しくは別の記事(任意整理の和解後に払えなくなったとき)でも解説していますので、あわせてご覧ください。返済が滞ってしまう前の、早めの相談が肝心です。

家計の収支を見直す

毎月の収入と支出を一度書き出して、固定費(通信費・保険料・サブスクリプションなど)を中心に見直すことも有効です。借入で不足を補う前に、支出の側を整理することで、返済を続けられる家計に近づけられる場合があります。公的な支援制度の利用が検討できるケースもあります。

なお、任意整理には信用情報への記録のほかにもいくつかの注意点があり、その全体像は別の記事(任意整理のデメリット)で解説しています。資金繰りに不安があるときは、ひとりで抱え込まず、まずは専門家に状況を相談することをおすすめします。早めに相談するほど、選べる対応の幅も広がります。

ご相談にあたって

司法書士法人 福間事務所は認定司法書士が在籍し、債権者1社あたりの債務額が140万円以下の任意整理について代理権限の範囲内で対応します。1社あたり140万円を超える事案は司法書士の代理権限の範囲外となるため、無料相談で個別にご確認ください。減額後の返済額の概算や見通しも、無料相談で個別にご確認いただけます。

個人再生・自己破産は書類作成のサポートであり、代理人として対応するものではありません。

当事務所では債務整理に関する初回のご相談を無料で承っています。任意整理で将来利息のカットや分割回数の見直しができるかどうかは、債権者との交渉や個別の事情により異なり、特定の結果をお約束するものではありません。借入や家計の状況をお伺いしたうえで、ご相談者に合った手続きをご案内します。