任意整理の和解後に「滞納」するとどうなる?

結論からお伝えすると、任意整理の和解後に分割返済を滞納すると、一定回数の滞納で「期限の利益」を失い、残っている債務を分割ではなく一括で請求されたり、遅延損害金が上乗せされたりすることがあります。「うっかり一度払い忘れただけで、いきなり残額をまとめて請求されてしまうのだろうか」と不安になる方は少なくありませんが、その仕組みは和解書に書かれた約束ごとで決まっています。まずは何がどう変わるのかを、順を追って整理していきましょう。

そもそも和解後の「滞納」とは何を指すのか

任意整理では、債権者と交渉して将来利息のカットや返済額(分割回数)の見直しを行い、その結果を和解書(合意書)という書面にまとめます。そこで決めた毎月の金額を、決められた支払日にコツコツ返していくのが和解後の返済です。

この約束どおりに入金がなされず、支払日を過ぎても返済が行われない状態を「滞納」と呼びます。たとえば「毎月25日に2万円」と決めたのに、25日を過ぎても引き落としや振込がなされていない、という状態です。和解はあくまで債権者との約束ごとですから、滞納が続くと約束の前提が崩れ、債権者側の取り扱いが変わることがあります。

「期限の利益」とは?――分割で払える権利のこと

滞納の話を理解するうえで欠かせないのが「期限の利益」という言葉です。少し堅い表現ですが、内容はそれほど難しくありません。

「期限の利益」とは、残っている債務をその場で一度にまとめて支払うのではなく、決められた期日まで待ってもらいながら、毎月少しずつ分割で支払っていける利益(立場)のことをいいます。たとえば残債が60万円あっても、「毎月2万円ずつ、3年(36回)かけて返していけばよい」とされているなら、いま手元に60万円を用意できなくても返済を続けられます。これは返す側にとって大きなメリットです。任意整理の和解では、この期限の利益を前提に毎月の支払日と分割回数を取り決めています。

和解書に書かれた「期限の利益喪失」の条項

任意整理の和解書(合意書)には、分割返済を滞納した場合の取り扱いとして「期限の利益喪失(きげんのりえきそうしつ)」の条項が定められていることが一般的です。

これは、約束した分割払いが守られなかったときに、先ほど説明した「分割で支払っていける利益」を失う、という内容です。期限の利益を失うと、債権者は残りの債務をまとめて一度に請求できる立場になります。つまり、滞納をきっかけに「毎月少しずつ」から「残額をまとめて」へと、返済の前提そのものが切り替わってしまう可能性があるということです。具体的な文言や発動条件は、債権者や和解の内容によって異なりますので、ご自身の和解書を一度確認しておくと安心です。

何回滞納すると期限の利益を失う?

「1回でも遅れたら即アウトなのか」が気になるところですが、和解条項では、一般に2回分(2か月分相当)の滞納が積み重なったときに期限の利益を失う、と定められていることがあります。言い換えると、1回の遅れですぐに残債の一括請求に切り替わるとは限らない、というのが一つの目安です。

ただし、これはあくまで一般的な例にすぎません。滞納の回数や発動の条件は和解の内容によって異なり、債権者によっては別の定め方をしていることもあります。「自分の場合はどうなのか」を正確に知るには、ご自身の和解書の条項を確認することが何より大切です。期限の利益を失うと、残額をまとめて一括で請求されることがあります。

遅延損害金が上乗せされることもある

期限の利益を失うと、残っている元金に加えて「遅延損害金」が発生し、加算されることがあります。遅延損害金とは、約束どおりに支払えなかったことに対して生じるもので、その利率は契約や和解条項の定めによって異なります。

せっかく将来利息をカットしてもらって返済を軽くしたのに、滞納によって今度は別の負担が乗ってきてしまう――結果として、滞納する前よりも支払いの負担が大きくなることがあります。これも、滞納を避けたい大きな理由の一つです。

「払えるのに払い忘れた」を防ぐ工夫

滞納というと「お金が足りないとき」を思い浮かべがちですが、支払い能力に問題がなくても、口座の残高不足や支払日の失念といった、いわゆる「うっかり」が原因で滞納してしまうケースは少なくありません。これはとてももったいない滞納です。

防ぎ方はシンプルです。たとえば、支払日を手帳やスマートフォンのカレンダーにリマインダーとして登録しておく、引き落とし口座の残高を毎月決まった日に確認しておく、給料日と支払日の前後関係を意識して入金しておく、といった小さな習慣で、うっかりの滞納はぐっと防ぎやすくなります。日々の家計管理とあわせて整えておくと安心です。

払えそうにないときは、滞納する前に相談を

一方で、収入の減少や急な出費、病気やケガなどで、約束した返済をどうしても続けられなくなることもあります。そうしたときに一番避けたいのは、「どうしよう」と抱え込んだまま黙って滞納を重ねてしまうことです。期限の利益を失ってからでは、取れる選択肢が狭まってしまうこともあります。

状況によっては、債権者と改めて話し合い、返済方法を見直せる余地がある場合もあります。大切なのは、滞納が積み重なる前に、できるだけ早めに相談することです。再和解の余地など、和解どおりに払えなくなったときの具体的な対応については「任意整理後に和解どおり払えないとき」の記事もあわせてご覧ください。

あわせて知っておきたい手続き上の注意点

和解後の返済を続けていくうえでは、周辺の仕組みも知っておくと判断の助けになります。任意整理を途中でやめる場合の注意点は「任意整理を途中でやめるとどうなるか」の記事で、受任通知によって督促が一時的に止まる効果については「受任通知とは何か」の記事で、それぞれくわしく解説しています。これらを押さえておくと、滞納しそうなときに「次にどう動けばよいか」をイメージしやすくなります。不明な点は、無料相談で個別にご確認ください。

ご相談にあたって

司法書士法人 福間事務所には認定司法書士が在籍しており、債権者1社あたりの債務額が140万円以下の任意整理について、代理権限の範囲内で対応します。1社あたり140万円を超える事案は司法書士の代理権限の範囲外となりますので、まずは無料相談で個別にご確認ください。和解後の返済が苦しくなったときの見直しの可否や、見直し後の返済額の概算・見通しについても、無料相談で個別にご案内できます。

なお、個人再生・自己破産については、当事務所は書類作成のサポートを行うものであり、代理人として対応するものではありません。

当事務所では、債務整理に関する初回のご相談を無料で承っています。任意整理で将来利息のカットや分割回数の見直しができるかどうかは、債権者との交渉や個別の事情により異なり、特定の結果をお約束するものではありません。まずは借入や家計の状況をお伺いしたうえで、ご相談者お一人おひとりに合った手続きをご案内します。返済の滞納が心配なときも、抱え込まずにご相談ください。