「任意整理を始めてみたけれど、やっぱり続けるのが難しい」「方針が自分に合っていない気がする」——手続きの途中でそう感じる方は少なくありません。生活状況が変わったり、毎月の返済が思ったより負担に感じられたりすると、いったん立ち止まりたくなるのは自然なことです。この記事では、任意整理を途中でやめるとどうなるのか、やめる前に知っておきたい注意点と、やめる以外の選択肢の考え方を、できるだけわかりやすく整理します。
任意整理は途中でやめられるのか?
結論から言うと、任意整理は専門家への依頼後であっても、ご本人の意思で途中でやめる(依頼を取り下げる)ことができます。手続きを最後まで続けなければならない、という決まりがあるわけではありません。生活の事情や考え方の変化に合わせて方針を見直すこと自体は、選択肢のひとつです。
ただし、いったん動き始めた手続きを途中でやめると、いくつか押さえておきたい影響があります。具体的には、(1)止まっていた督促・請求が再び始まること、(2)信用情報の記録がそのまま残る場合があること、(3)支払った着手金は原則戻らないこと、の3点です。やめるかどうかを決める前に、これらを順番に確認していきましょう。
やめると督促・請求が再開することがある
任意整理を依頼すると、専門家が債権者(借入先の貸金業者やカード会社など)へ「受任通知」という書面を送ります。受任通知が届くと、貸金業法のルールにより、ご本人への直接の取り立てや督促がいったん止まるのが一般的です。これは、依頼後に督促が落ち着く大きな理由のひとつです。
ところが、途中で依頼をやめると、この受任通知の効果が失われます。その結果、債権者からご本人への電話や郵便での請求・督促が再び始まることがあります。「やめれば静かになる」のではなく、むしろ連絡が戻ってくる可能性がある、という点はあらかじめ知っておきたいところです。受任通知でいったん止まる仕組みのくわしい解説は、関連記事もあわせてご確認ください。
とくに注意したいのは、依頼前からすでに返済が滞っていた場合です。任意整理の間は支払いがいったん猶予された状態になりますが、途中でやめるとその猶予がなくなり、たまっていた分をまとめて求められることがあります。契約の内容によっては「期限の利益」を失い、残った借入金の残額を一度に請求される(一括請求)場合もあります。滞納が続いている状況での具体的な論点は、関連記事で別途解説しています。
途中でやめれば信用情報はリセットされる?
「途中でやめれば、いわゆるブラックリスト(信用情報の記録)もなかったことになるのでは」と考える方もいますが、これは誤解されやすいポイントです。任意整理の手続きを途中でやめても、信用情報機関にすでに登録された情報が、それだけで自動的に消えるわけではありません。
とくに、依頼する前からすでに返済の遅れ(延滞)があった場合は、その延滞の事実が信用情報に記録され、一定期間そのまま残ることがあります。つまり「途中でやめれば信用情報に何も残らない」とは限らない、という点に留意が必要です。やめたからといって、過去の延滞がなかったことになるわけではない、と理解しておくと安心です。
信用情報にどのような内容が登録され、どのくらいの期間残るのかという一般的な考え方は、関連記事でくわしく解説しています。また、ご自身の正確な登録状況を知りたいときは、各信用情報機関へ開示請求をして自分で確認する方法もあります。手数料はかかりますが、現状を客観的に把握する手がかりになります。
支払った着手金は戻ってくる?
費用面も、やめる前に確認しておきたい大切なポイントです。専門家へ任意整理を依頼する際に支払った着手金は、手続きを途中でやめても、原則として返金されないのが一般的です。これは、着手金が「依頼を受けて実際に動き始めた時点」に対する費用とされることが多いためです。すでに受任通知の送付や債権者とのやり取りが始まっていれば、その分の作業はすでに行われている、という考え方になります。
ただし、返金の取り扱いや報酬の仕組みは事務所によって異なります。やめると決める前に、ご自身が交わした契約書や委任契約の内容を読み返し、不明な点は依頼先に確認しておくことをおすすめします。「やめたら費用がどうなるのか」をはっきりさせておくことで、後から想定外の負担に戸惑う事態を避けやすくなります。
やめる前に「なぜ続けにくいのか」を整理する
手続きを続けるのが難しいと感じたときは、すぐにやめると決める前に、「なぜ続けにくいのか」をいったん言葉にしてみることをおすすめします。理由がはっきりすると、やめる以外の解決策が見えてくることがあるからです。
たとえば、続けにくい理由は次のように分かれることが多いです。(1)毎月の返済額が家計に対して重い、(2)収入が減るなど家計の状況そのものが変わった、(3)方針や進み方に不安がある——。同じ「やめたい」でも、その背景によって取るべき対応は変わってきます。
返済額を見直せないか相談する
返済額が重いと感じる場合は、まず和解後の返済計画を見直せないか相談する方法があります。事情によっては、債権者との再交渉で月々の返済額や回数を調整できる余地があるケースもあります。やめてしまう前に、今の枠組みの中で負担を軽くできないかを確認してみる価値があります。
他の手続きへの切り替えを検討する
家計の状況が大きく変わり、任意整理での返済を続けること自体が難しい場合は、個人再生や自己破産といった別の手続きへ切り替える選択肢も考えられます。これらは任意整理とは仕組みや効果が異なり、どの方法がご自身の状況に合うかは、収入や借入の状況によって変わります。判断に迷うときは、自己流で結論を出す前に専門家へ相談し、見通しを確認しておくと安心です。
任意整理を途中でやめること自体は、選択肢のひとつです。大切なのは、督促の再開・信用情報の記録・費用といった影響をふまえたうえで、勢いだけで決めず、ご自身の状況に合った進め方を落ち着いて選ぶことです。
ご相談にあたって
司法書士法人 福間事務所には認定司法書士が在籍しており、債権者1社あたりの債務額が140万円以下の任意整理について、代理権限の範囲内で対応します。1社あたり140万円を超える事案は司法書士の代理権限の範囲外となるため、まずは無料相談で個別にご確認ください。見直し後の返済額の概算や、途中でやめた場合・続けた場合の見通しについても、無料相談で個別にご案内します。
個人再生・自己破産は書類作成のサポートであり、代理人として対応するものではありません。
当事務所では、債務整理に関する初回のご相談を無料で承っています。任意整理で将来利息のカットや分割回数の見直しができるかどうかは、債権者との交渉や個別の事情により異なり、特定の結果をお約束するものではありません。「今のまま続けるべきか、それとも見直すべきか」で迷われている段階でも構いません。借入や家計の状況をお伺いしたうえで、ご相談者に合った進め方をご案内します。