「任意整理を始めたけれど、転勤や家庭の事情で引っ越すことになった」「手続き中に住所を変えると、何か不都合があるのだろうか」——返済の整理を進めている最中に引っ越しの予定が重なると、こうした不安を感じる方は少なくありません。結論からお伝えすると、任意整理の手続き中でも、引っ越し自体は問題なくできます。ただし、引っ越しに付随する「賃貸の入居審査」や「費用の分割払い」は別の論点として押さえておくと安心です。この記事では、何が自由にできて、何に注意すればよいのかを順番に整理します。
任意整理の手続き中でも引っ越しはできる?
結論として、任意整理の手続き中であっても引っ越しは可能です。任意整理は裁判所を通さず、依頼を受けた専門家が債権者(お金を貸している会社)と直接交渉する「私的整理」と呼ばれる手続きです。手続きの目的はあくまで返済条件を見直すことであり、どこに住むか、いつ引っ越すかといった居住・移転の自由を制限するものではありません。
ここで「破産すると引っ越しできないと聞いた」と心配される方もいます。これは自己破産のうち、財産が一定以上あるなどの理由で『管財事件』として進む場合に、手続き中の旅行や転居に裁判所の許可が必要になることがある、という扱いと混同しているケースです。任意整理にはそうした居住の制限はありません。引っ越しのタイミングだからといって、手続きそのものをためらう必要はないと整理しておきましょう。
引っ越したら、まず受任している専門家へ新住所を伝える
引っ越しが決まったら、忘れずに行いたいのが、受任している司法書士・弁護士への新しい住所や連絡先の共有です。手続きそのものに制限はなくても、連絡先が古いままだと実務上の不都合が生じることがあるためです。
任意整理では、専門家が依頼者に代わって債権者との窓口になります。交渉の経過報告や、合意した内容をまとめた和解書といった重要書類が郵送で届く場面もあります。たとえば、和解書の控えが旧住所に送られて受け取れない、といった行き違いを避けるためにも、住所変更は早めに伝えておくと安心です。電話番号やメールアドレスが変わったときも同じように共有しておきましょう。
和解が成立した後、合意した分割返済を続けている期間に転居するケースもあります。この場合も引き続き連絡が取れる状態にしておくことで、入金状況の確認や、債権者から問い合わせがあった際の対応がスムーズになります。
賃貸物件の「入居審査」は引っ越しとは別の論点
ここからが、多くの方が気になる「引っ越し先で部屋を借りられるか」という点です。引っ越し自体ができることと、賃貸物件の入居審査に通るかどうかは、切り分けて考える必要があります。
賃貸契約では、家賃の支払いを保証する『保証会社』の審査を求められることが一般的です。この保証会社のうち、クレジットカード会社などの信販系の会社は、入居審査の際に信用情報を照会することがあります。任意整理を行うとその情報が信用情報機関に登録されるため、任意整理後の一定期間は、信販系保証会社の審査に影響することがあります。
ただし、保証会社にはさまざまな種類があり、信用情報を照会しないタイプの会社が利用される物件もあります。また、保証会社を使わず連帯保証人を立てて契約する方法もありますが、その場合は保証人に責任が及ぶ点を理解しておく必要があります。賃貸の入居審査と任意整理の関係は、別記事「任意整理後の賃貸入居審査」で詳しく整理しています。連帯保証人を検討する場合の影響については、保証人への影響をまとめた記事もあわせてご確認ください。
引っ越し費用はどう支払えばよい?
引っ越しには、敷金・礼金や運送費などまとまった費用がかかります。この支払い方法も、信用情報との関係で考えておくとよいポイントです。
引っ越し費用を分割払いやクレジットカードで支払う場合、その申し込みの際に信用審査が行われることがあります。任意整理後の一定期間は、こうしたクレジットの利用が難しいことがあります。一方で、現金や、口座の残高から直接引き落とされるデビットカードでの支払いは、信用情報の照会を伴いません。そのため、これらの方法であれば引っ越し費用を準備しやすい場合があります。費用の見通しを早めに立て、現金で用意できる範囲を把握しておくと、引っ越しの計画も進めやすくなります。
信用情報の登録期間はどう考える?
ここまで何度か触れた「信用情報への登録」について、もう少し補足します。任意整理を行うと、その事実が信用情報機関に登録され、一定期間は新たな借入やクレジットカードの審査が通りにくくなります。賃貸の入居審査や引っ越し費用の分割払いに影響しうるのも、この登録が理由です。
登録される期間の一般的な考え方は、別記事「任意整理とブラックリスト|信用情報に登録される期間の考え方」で解説しています。ただし、登録の有無や期間は信用情報機関の種類や、個別の契約・事案の状況によって異なります。「自分の場合はいつまで影響するのか」「希望する物件で審査が通るのか」といった具体的な見通しは、画一的に決まるものではありません。引っ越しに伴う個別の不安は、無料相談で状況をお伺いしながらご確認いただけます。
ご相談にあたって
司法書士法人 福間事務所は認定司法書士が在籍し、債権者1社あたりの債務額が140万円以下の任意整理について代理権限の範囲内で対応します。1社あたり140万円を超える事案は司法書士の代理権限の範囲外となるため、無料相談で個別にご確認ください。減額後の返済額の概算や見通しも、無料相談で個別にご確認いただけます。
なお、個人再生・自己破産は書類作成のサポートであり、代理人として対応するものではありません。
当事務所では債務整理に関する初回のご相談を無料で承っています。任意整理で将来利息のカットや分割回数の見直しができるかどうかは、債権者との交渉や個別の事情により異なり、特定の結果をお約束するものではありません。引っ越しの予定や、借入・家計の状況をお伺いしたうえで、ご相談者に合った進め方をご案内します。