相続登記を自分で進めていて、「被相続人の登記簿上の住所と、亡くなったときの住所がつながらない」「必要な住民票の除票を請求したら、廃棄済みで取れないと言われた」という壁にぶつかる方は少なくありません。ここでつまずくと手続きが止まってしまいますが、対処の方法が用意されています。この記事では、なぜ住所がつながらないことが起きるのか、そのときにそろえる代替書類の考え方を、順を追って整理します。
なぜ住所の「つながり」が必要なのか
相続登記では、登記簿に記録されている名義人と、亡くなった被相続人が同一の人物であることを確認する必要があります。この確認は、登記簿上の住所と、戸籍などに記録された最後の住所を書類でつなぐことで行うのが一般的です。ところが、名義人が登記後に何度も引っ越していると、登記簿上の住所から現在までの移り変わりを一枚の書類では示せず、複数の住所証明をつなぎ合わせる必要が出てきます。この「つなぐ」作業でひっかかるのが、住所がつながらないという状態です。
住所を証明する書類と、取れなくなる理由
住所のつながりを示すのに使うのが、住民票の除票や戸籍の附票です。住民票の除票は、転出や死亡でその住所から抜けたあとの記録で、戸籍の附票はその戸籍にいる間の住所の移り変わりが記録された書類です。これらには保存期間が定められており、古いものは廃棄されて取得できないことがあります。保存期間は法改正で延長された経緯があり、取り扱いは自治体によって異なることもあるため、まずは請求してみて、取れるかどうかを確認するのが出発点になります。
住所がつながらないときの代替書類
除票や附票が取れず住所がつながらない場合でも、代わりとなる書類で対応できることがあります。よく用いられるのが、亡くなった名義人が保管していた権利証(登記済証)の写しや、相続人が「登記簿上の名義人と被相続人が同一人である」ことを申述する上申書(相続人全員の印鑑証明書を添えることが多いとされています)などです。どちらか一方で足りることもあれば、両方を求められることもあり、その組み合わせは一律ではありません。どの書類でどこまで足りるかは、事案の内容や管轄の法務局の取り扱いによって異なります。自己判断で書類を用意する前に、管轄の法務局に確認するか、専門家に相談すると二度手間を避けやすくなります。
住所をつなぐ書類の組み合わせ
住所のつながりは、一枚の書類だけで示せるとは限らず、複数の書類を組み合わせて確認することがよくあります。たとえば、登記簿上の住所から途中の住所までを戸籍の附票でたどり、最後の住所を住民票の除票で示す、といった具合です。附票と除票のどちらが取りやすいかは自治体や時期によって異なるため、両方の取得を試してみて、つながる経路を探すのが実務的です。なお、戸籍証明書の広域交付の仕組みは戸籍の附票には及ばないとされており、附票は原則として本籍地の市区町村への請求になります。まずは取れる書類を集め、どこの区間がつながらないのかを具体的に把握することが、次の一手を決める土台になります。
上申書とはどのような書類か
除票や附票では住所がつながらず、権利証などの代替書類でも足りないと判断される場合に用いられるのが上申書です。上申書は、相続人が「登記簿上の名義人と、亡くなった被相続人は同一の人物に間違いない」という趣旨を法務局に対して申し述べる書類で、相続人全員の実印での押印と印鑑証明書を添えるかたちが一般的とされています。ただし、上申書だけで足りるのか、権利証の写しなど他の書類とあわせて必要になるのかは、事案や管轄の法務局の取り扱いによって変わります。あらかじめ管轄の法務局に照会したうえで用意すると、やり直しを避けやすくなります。
なぜ古い書類は取れなくなるのか
住民票の除票や戸籍の附票には保存期間が定められており、期間を過ぎると廃棄され、あとから請求しても取得できないことがあります。この保存期間は法令の改正で延長された経緯がありますが、延長より前にすでに廃棄されていた古い記録までさかのぼって復活するわけではありません。そのため、相続が古い時代に発生したものであるほど、住所を示す書類がそろわない可能性が高くなります。まずは請求してみて、「保存期間経過により発行できない」といった証明(廃棄証明などと呼ばれることがあります)を受け取れる場合は、それも代替書類の検討材料になります。取り扱いは自治体や法務局によって異なりますので、取れなかったという事実も含めて記録を残しておくと役立ちます。
判断に迷ったら早めに専門家へ
住所がつながらないケースは、必要な書類の組み合わせが事案ごとに変わり、法務局とのやり取りが何度か必要になることもあります。とくに、どの代替書類まで求められるかは管轄の法務局の判断による部分が大きく、事前に照会しておくかどうかで手戻りの回数が変わってきます。ご自身で調べても方針が定まらないときは、早めに司法書士に相談すると、どの書類をそろえれば手続きを進められるかの見通しを立てやすくなります。当事務所でも、住所のつながりを確認しながら必要書類を整える段階からお手伝いできますので、書類集めで止まってしまったときは無料相談でご相談ください。
ご相談にあたって
当事務所の相続登記・相続手続きのご相談は無料で、着手金もいただいていません。ご依頼の際は、司法書士報酬のほかに登録免許税・戸籍等取得費などの実費が別途必要です。
遺産分割に争いがある場合の代理交渉・調停・訴訟は弁護士、相続税の申告・税務相談は税理士の業務領域です。当事務所は司法書士事務所として、相続登記・法定相続情報一覧図の取得・相続放棄の申述書など裁判所提出書類の作成等に対応し、必要に応じて適切な専門家をご案内します。
必要な手続き・書類・費用は個別の事情により異なります。ご自身のケースの見通しは無料相談でご確認ください。