「任意整理をしたら、通勤や送り迎えで毎日使っているETCカードはどうなるんだろう」——車が生活や仕事に欠かせない方ほど、この不安は切実だと思います。結論からお伝えすると、クレジットカードに付帯したETCカードは任意整理の影響で使えなくなることが多い一方、車の利用そのものをあきらめる必要はありません。信用審査のないETCパーソナルカードをはじめ、いくつかの代替手段があります。この記事では、なぜ使えなくなるのかという理由から、代替カードの種類・特徴・注意点までを順番に整理してお伝えします。
任意整理でクレジットカード付帯のETCカードはどうなる?
そもそもETCカードの多くは、クレジットカードに「付帯する」形で発行されています。クレジットカードが親、ETCカードが子のような関係をイメージするとわかりやすいかもしれません。この親子関係があるため、付帯元のクレジットカードを任意整理の対象に含めると、親であるクレジットカード自体が解約・利用停止となり、子であるETCカードも一緒に使えなくなるのが一般的です。
さらに、任意整理を行うと信用情報機関に「事故情報」(いわゆるブラックリストと呼ばれる状態)が登録されます。これは「返済条件の見直しをした」という記録で、一定期間残ります。この登録期間中は、各カード会社が審査で信用情報を確認するため、新たにクレジットカードを作ることが難しくなり、それに付帯するETCカードを新規に発行することも同様に難しくなります。つまり、いま使っているカードが止まるだけでなく、「新しく作り直せばいい」という解決も当面は取りにくい、という二重の事情があるわけです。
だからこそ、クレジットカードに頼らずにETCを使い続ける方法を知っておくことが大切になります。ここからは代表的な3つの代替手段を見ていきましょう。
代替手段① 信用審査のないETCパーソナルカード
クレジットカード付帯のETCカードが使えない場合に、まず候補になるのがETCパーソナルカードです。これは高速道路会社が共同で発行しているETC専用のカードで、最大の特徴は「あらかじめ保証金(デポジット)を預け入れる仕組み」である点です。先にお金を預けておくため、クレジットカードのような信用審査を伴いません。
信用審査がないということは、信用情報に事故情報が登録されている状況でも作成できる選択肢になりうる、ということです。たとえば「任意整理をしたばかりでクレジットカードは作れないが、高速道路は使い続けたい」という方にとって、現実的な受け皿になりやすいカードといえます。
ETCパーソナルカードを申し込む前に知っておきたい注意点
便利な一方で、申し込む前に押さえておきたい注意点もあります。第一に、年会費がかかります。第二に、利用にあたって保証金(デポジット)の預託が必要で、申込み時にまとまった金額を用意する必要があります。預けた保証金は解約時に返還される性質のものですが、契約している間は手元から出ていくお金になります。第三に、あくまで高速道路の料金支払い専用のカードであり、クレジットカードのように買い物や他の決済に使うことはできません。具体的な年会費や保証金の額・利用条件は高速道路会社の定めによるため、申込み前に必ず公式の案内でご確認ください。
代替手段② 事業で使うなら法人ETCカード
仕事や事業で車を使う方であれば、法人ETCカードが選択肢になることがあります。これは法人や個人事業として申し込むETCカードで、協同組合などが組合員向けに扱っているものも含まれます。個人のクレジット審査とは別の基準で発行されるケースがあるため、事業として車を使う方には検討の余地があります。ただし、こちらも組合やカード会社ごとの審査・契約条件があり、申し込めば必ず作れるというものではありません。
代替手段③ 家族名義のカードに付帯するETCカード
同居のご家族に安定した収入や信用がある場合は、ご家族名義のクレジットカードに付帯するETCカード(家族カードを含む)を利用する方法も考えられます。たとえば配偶者名義のカードを軸に、ETCカードを発行してもらうイメージです。この場合、契約や審査の主体はあくまでご家族名義のカードであるため、ご家族の理解と協力が前提になります。なお、審査や契約はカード会社の基準によるため、こちらも確実に作れるとは限りません。
任意整理の対象に含めなかったカードも油断は禁物
任意整理は「どの債権者を対象にするか」を選べる手続きです。そのため、ETCカードが付帯するクレジットカードだけはあえて対象に含めず、車の利用を続けたい、という考え方もあります。一見すると賢い選び方に思えるかもしれません。
ただし、対象に含めなかったカードであっても安心とは限りません。カード会社は定期的に会員の信用情報を確認しており(途上与信と呼ばれます)、他社の任意整理の記録が見えると、更新のタイミングなどでカード会社の判断により利用停止・更新見送りとなる可能性があります。どのカードを対象にするかは、目先のETC利用だけでなく、車の利用予定・家計全体の状況・返済の負担をふまえて総合的に検討する必要があります。判断に迷うときは、専門家に相談しながら決めると安心です。
車そのものを残せるかどうかについては「任意整理で車は残せる?」の記事も、銀行口座とあわせて使えるカードについては「任意整理中のデビットカード活用」の記事もあわせてご覧ください。
ご相談にあたって
司法書士法人 福間事務所は認定司法書士が在籍し、債権者1社あたりの債務額が140万円以下の任意整理について代理権限の範囲内で対応します。1社あたり140万円を超える事案は司法書士の代理権限の範囲外となるため、無料相談で個別にご確認ください。「どのカードを任意整理の対象にすると車を使い続けやすいか」といった具体的な進め方や、減額後の返済額の概算・見通しも、無料相談で個別にご確認いただけます。
なお、個人再生・自己破産については、書類作成のサポートであり、代理人として対応するものではありません。
当事務所では債務整理に関する初回のご相談を無料で承っています。任意整理で将来利息のカットや分割回数の見直しができるかどうかは、債権者との交渉や個別の事情により異なり、特定の結果をお約束するものではありません。借入や家計の状況、車の使い方をお伺いしたうえで、ご相談者に合った手続きと、ETC利用を続けるための現実的な方法をご案内します。