「任意整理をしたら、コツコツ積み立ててきたNISAや証券口座はどうなるの?」「せっかく始めたiDeCoまで手放さないといけないの?」——借金の返済を見直したいけれど、長期で続けてきた資産運用への影響が気になって踏み出せない、という方は少なくありません。結論から言えば、任意整理は財産を処分する手続きではないため、すでに保有しているNISA口座・証券口座・iDeCoは原則としてそのまま続けられるのが一般的です。この記事では、その理由と、新規開設や信用取引など与信が絡む場面での注意点を、順を追って整理します。
そもそも任意整理は資産運用にどう関わる?
任意整理は、裁判所を通さずに債権者(貸した側)と直接交渉し、これから先の返済条件を見直す手続きです。具体的には、将来発生する利息をカットしてもらえないか、返済回数を増やして毎月の負担を軽くできないか、といった点を話し合います。ここがポイントなのですが、任意整理は自己破産のように「持っている財産を処分してお金に換える」手続きではありません。
対象になるのは、あくまでクレジットカードや消費者金融などの『借りているお金(債務)』です。証券口座のなかにある株式や投資信託、NISAの積立資産が取り上げられる、という性質のものではありません。財産の処分を前提としない——この一点が、資産運用を続けたい方にとって任意整理の大きな安心材料になります。
保有中のNISA・証券口座はそのまま使える?
原則として、いま持っているNISA口座や証券口座は維持できるのが一般的です。たとえば「特定口座でインデックス投信を毎月積み立てている」「NISAの非課税枠で個別株を保有している」といったケースでも、任意整理をしたからといって、その口座が強制的に解約させられたり、中の資産が没収されたりするわけではありません。
この考え方は、保険の扱いとも共通しています。解約返戻金のある保険を任意整理のためだけに解約させられることがないのと同じで(関連記事『任意整理と保険』もあわせてご覧ください)、資産そのものに手を付ける手続きではないからです。とはいえ、毎月の返済と積立の両方を無理なく続けられるかは家計全体のバランス次第です。保有資産をどう扱うかは、収支の見直しのなかで落ち着いて検討するとよいでしょう。
任意整理の後や手続き中に、新しく口座を開設できる?
「これから証券口座やNISAを新しく作りたい」という場合はどうでしょうか。ここで知っておきたいのが、証券口座の開設には、クレジットカードやローンを申し込むときのような信用情報機関への照会(いわゆる与信審査)が、通常は伴わないという点です。
クレジットカードやローンの審査では、CICやJICCといった信用情報機関に申込者の返済状況が照会されます。これに対し、証券会社は一般にこうした信用情報機関の会員(会員企業)ではないため、信用情報に事故情報が登録されている期間中であっても、口座を新規開設できる場合があります。「ブラックだから証券口座も作れない」と思い込んでいる方もいますが、カードやローンとは審査の仕組みがそもそも違う、と理解しておくと見通しが立てやすくなります。
ただし、開設できるかどうかは各証券会社が独自の内部基準やマネー・ローンダリング対策などにもとづいて個別に判断します。誰でも・どの会社でも開設できると保証されているわけではありません。最終的な可否は、利用を予定している証券会社にご確認ください。
iDeCo(個人型確定拠出年金)はどうなる?
iDeCoについても、続けられるかどうかは『信用審査』ではなく『毎月の家計の収支』の問題として考えるのが基本です。掛金を払い続けられるかは、収入と支出のバランス次第ということです。
むしろ、任意整理で毎月の返済額を見直した結果として家計に少し余裕が生まれ、掛金の拠出を続けやすくなる、というケースもあります。もっとも、拠出を継続できるかどうかは収入や支出の状況によって人それぞれで、特定の結果をお約束できるものではありません。状況によっては掛金額を引き下げて調整するといった選択肢もあります。返済と老後の備えのどちらも無理なく続けられるよう、家計全体を見ながら検討することが大切です。
注意したいのは、クレジットカード・ローンとの違い
ここまで見てきたとおり証券口座は維持・開設しやすい一方で、クレジットカードの再作成や新たなローンの利用は、信用審査が絡むため、信用情報に登録されている期間中は難しくなります。同じ『お金にまつわる手続き』でも、与信が必要かどうかで影響の出方がはっきり分かれる、という点を区別しておくと安心です。
任意整理後にクレジットカードを作り直せる時期の目安は関連記事『任意整理後のクレジットカード』を、ご自身の信用情報がいまどう登録されているかを確認する方法は『信用情報の確認・回復』をあわせてご覧ください。資産運用に使う証券口座と、与信が前提のカード・ローンとを切り分けて理解しておくことが、過度に不安にならないコツです。
信用取引など、与信が絡む取引は別扱いになることも
同じ証券取引でも注意したいのが、株式の信用取引です。信用取引は、証券会社が顧客に資金や株式を貸し付けて売買する仕組みのため、現物取引と違って与信(審査)が絡みます。そのため現物の口座とは別の扱いになり、開設や継続が認められない場合もあります。
信用取引の口座開設や継続の可否は各証券会社の判断によります。レバレッジをかけた取引を検討している場合は、現物取引と同じ感覚で考えず、事前に各社へ条件を確認しておくことをおすすめします。
ご相談にあたって
司法書士法人 福間事務所には認定司法書士が在籍し、債権者1社あたりの債務額が140万円以下の任意整理について、代理権限の範囲内で対応します。1社あたり140万円を超える事案は司法書士の代理権限の範囲外となるため、まずは無料相談で個別にご確認ください。減額後の返済額の概算や、資産運用を続けながら返済していけそうかの見通しも、無料相談でお伝えできます。
なお、個人再生・自己破産については、書類作成のサポートを行うものであり、代理人として対応するものではありません。
当事務所では債務整理に関する初回のご相談を無料で承っています。任意整理で将来利息のカットや分割回数の見直しができるかどうかは、債権者との交渉や個別の事情によって異なり、特定の結果をお約束するものではありません。借入や家計の状況、続けていきたい資産運用の内容などをお伺いしたうえで、ご相談者お一人おひとりに合った手続きをご案内します。