任意整理で「和解できない」ことはあるの?
「任意整理を申し込めば、必ず返済が楽になるの?」「もし和解できなかったらどうなるの?」——交渉の前にこうした不安を抱く方は少なくありません。結論から言うと、任意整理は債権者(お金を貸している会社)との合意がなければ成立しない手続きなので、いつも希望どおりの条件でまとまるとは限りません。
とはいえ、これは「和解できない」ケースが多いという意味ではありません。多くの場合は交渉によって一定の落としどころが見つかりますが、事情によっては条件の調整に時間がかかったり、別の手続きを検討した方がよかったりする場面もある、ということです。この記事では、和解が難しくなりやすい状況や、ご本人だけの交渉が不利になりやすい理由、専門家に依頼する意味を順を追って整理します。
そもそも任意整理は「合意」が前提の手続き
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と直接交渉し、将来利息(これから先にかかっていく利息)のカットや返済回数の見直しなどについて「合意(和解)」を目指す手続きです。あくまで双方が納得して初めて成り立つ点が大きな特徴で、ここが裁判所が関与する個人再生や自己破産との違いになります。
合意が前提ということは、裏を返せば「相手が応じてくれる範囲」でしか条件を決められないということでもあります。だからこそ、どんな返済案を示すか、どんな根拠を準備するかが交渉の鍵になります。条件が折り合わなければ和解に至らないこともある——この前提を最初に押さえておくと、その後の見通しを立てやすくなります。
和解が難しくなりやすいのはどんな状況?
和解の見通しは一人ひとりの事情によって異なりますが、一般論として、難しくなりやすい状況にはいくつかの傾向があります。代表的なものを挙げます。
ひとつは、毎月の返済にあてられるお金(返済原資)に対して、残っている借金(残債)が大きすぎる場合です。たとえば手元で無理なく用意できる返済額では、現実的な分割回数におさまる返済案を示しにくく、交渉が難航しやすくなります。任意整理の返済は一般に3〜5年(36〜60回)程度の分割を想定して組み立てるため、その範囲に収まる案を描けるかどうかが目安のひとつになります。
もうひとつは、すでに長期間にわたって返済が滞っている場合です。延滞が続いていると、合意までに時間がかかったり、条件の調整が必要になったりすることがあります。いずれも個別の状況に大きく左右されるため、「自分の場合はどうなのか」は、借入の内容と家計の状況をあわせて確認するのが確実です。
なお、和解のしやすさは相手方の事情にも左右されますが、特定の業者ごとに対応の傾向や優劣をここで一般化することはできません。同じ借入額でも家計の状況が違えば見通しは変わります。実際の見込みは、ご自身の借入内容と毎月の収支に即して個別に検討する必要があります。
本人だけで交渉すると不利になりやすいのはなぜ?
ご本人だけで債権者と交渉すること(本人交渉)も、制度上は可能です。ただ、実際にはいくつかのハードルがあります。まず、取引履歴を取り寄せて残債を正確に把握したり、家計に無理のない返済案を組み立てたりといった準備に、相応の手間と知識が必要になります。十分な根拠を示せないまま交渉に入ると、話が前に進みにくくなりがちです。
その結果、家計に見合わない条件で合意してしまったり、交渉そのものが滞ってしまったりすることも考えられます。「本人交渉は不利になりやすい」というのは、必ず失敗するという意味ではなく、準備や交渉にかかる負担が大きく、見通しを立てにくいということです。判断材料が手元にそろっていない状態で交渉を始めること自体に難しさがある、と理解しておくとよいでしょう。
専門家に依頼するとどう変わる?
司法書士や弁護士などの専門家に依頼すると、取引履歴の取り寄せや内容の確認、債権者との交渉の窓口を任せることができます。やり取りの矢面に自分が立たずに済むため、精神的な負担を軽くしやすいのも実務上のメリットです。
また、家計の状況を整理したうえで、無理のない返済案を一緒に検討してもらえます。ご本人だけで進める場合に比べ、準備や交渉の負担を抑えやすく、見通しを相談しながら進められる点に専門家へ依頼する意味があります。ただし、和解できるかどうかや具体的な条件は、交渉や個別の事情によって異なります。「これだけ減る」と先に約束できる性質のものではない点は、あらかじめ理解しておいてください。
それでも和解が難しいときは、どんな選択肢がある?
交渉を尽くしても任意整理での和解が難しい場合には、個人再生や自己破産など、別の債務整理の手続きを検討することになる場合があります。どの手続きが適しているかは、借入総額や財産・収入の状況によって異なります。早い段階で専門家に相談し、選択肢を整理しておくと、いざというときに慌てずに済みます。
当事務所では、個人再生・自己破産については書類作成のサポートとして対応しています(代理人として対応するものではありません)。任意整理が難しいとわかった段階でも、次に取りうる手段を一緒に整理できますので、まずはご自身の状況を相談してみてください。
あわせて確認したい関連トピック
任意整理ができないケース全般については「任意整理ができないケース」の解説を、手続き全体の進み方が気になる方は「任意整理の流れ」を、ご自身で交渉する場合の論点については「任意整理を自分でやる場合の注意点」をあわせてご確認ください。それぞれの記事から、ご自身の状況に近い論点を確認できます。
ご相談にあたって
司法書士法人 福間事務所は認定司法書士が在籍し、債権者1社あたりの債務額が140万円以下の任意整理について代理権限の範囲内で対応します。1社あたり140万円を超える事案は司法書士の代理権限の範囲外となるため、無料相談で個別にご確認ください。減額後の返済額の概算や見通しも、無料相談で個別にご確認いただけます。
個人再生・自己破産は書類作成のサポートであり、代理人として対応するものではありません。
当事務所では債務整理に関する初回のご相談を無料で承っています。任意整理で将来利息のカットや分割回数の見直しができるかどうかは、債権者との交渉や個別の事情により異なり、特定の結果をお約束するものではありません。借入や家計の状況をお伺いしたうえで、ご相談者に合った手続きをご案内します。