「相続登記はどれくらいで終わるのか」——手続きを始める前に、全体でどのくらいの期間がかかるのかを知っておきたい方は多いものです。実際には、法務局に申請してから登記が完了するまでの審査期間よりも、その前段階である書類集めや遺産分割の話し合いに時間がかかることが少なくありません。かかる期間はケースによって大きく異なるため、ここでは全体を段階に分けて、それぞれの目安と、時間がかかりやすい場面を整理します。相続登記には申請の期限もあるため、全体でどのくらいかかりそうかを早めにつかんでおくことは、期限に間に合わせるうえでも役立ちます。
期間は大きく3つの段階に分かれる
相続登記にかかる期間は、大きく「①書類を集める段階」「②誰が取得するかを決める段階」「③法務局に申請してから完了までの段階」の3つに分けて考えると見通しを立てやすくなります。このうち、多くの方が想像する「法務局での審査」は③にあたりますが、実際に日数がかかりやすいのは①と②であることが少なくありません。全体の期間を知りたいときは、審査期間だけでなく、その手前の準備にどれだけかかりそうかをあわせて見積もることが大切です。
「相続登記にどれくらいかかりますか」という問いに一つの日数で答えにくいのは、この①と②が相続の内容によって大きく変わるためです。相続人が配偶者と子ども1人だけで、話し合いもすぐまとまるようなケースと、相続人が十人近くいて連絡調整に時間がかかるケースとでは、同じ相続登記でも必要な期間はまったく異なります。ですから、目安を知りたいときは、ご自身の相続がどの程度の規模かを、相続人の人数や不動産の数から考えてみると、現実的な見通しが立てやすくなります。逆に言えば、関わる相続人が少ないほど、全体は短くまとまりやすい傾向があります。
書類集めと話し合いにかかる時間
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集める作業は、本籍地を何度も移している場合や、古い戸籍をさかのぼる場合に時間がかかりやすい部分です。相続人が遠方にいる、人数が多いといった事情があると、書類のやり取りにも日数がかかります。2024年3月から戸籍の広域交付が始まり、最寄りの市区町村でまとめて請求しやすくなったとされていますが、それでも古い戸籍の確認などで日数を要することはあります。固定資産評価証明書や住民票なども、役所の窓口や郵送で取り寄せる時間を見込んでおきます。
また、誰がどの不動産を取得するかを決める遺産分割の話し合いは、相続人の間で意見がまとまるまでの時間が読みにくく、ここが全体の期間を大きく左右します。話し合いがまとまらないうちは、次の段階に進めません。相続人が少なく、早く合意できるケースでは書類集めと並行して短期間で整うこともありますが、意見が分かれる場合や連絡が取りにくい相続人がいる場合は、数か月以上かかることもあります。逆にいえば、この段階を早く動かすことが、全体の期間を短くする鍵になります。
法務局に申請してから完了までの目安
書類と申請書が整い、法務局に申請してから登記が完了するまでの審査期間は、法務局や時期、申請の混み具合によって異なります。多くの法務局では、受け付けた申請の登記完了予定日を窓口やウェブサイトで案内しており、申請時におおよその目安を確認できます。年度替わりなど申請が混み合う時期には、通常よりも時間がかかることもあります。ただし、書類に不備があって補正を求められた場合は、その分だけ完了が遅れます。補正のやり取りが発生すると、当初の予定日より延びることを見込んでおく必要があります。断定的な日数を前提にせず、余裕をもったスケジュールで進めるのが安全です。
自分でやる場合と依頼する場合の期間の違い
期間は、自分で進めるか専門家に依頼するかによっても変わってきます。自分で進める場合は、書類集めや申請書の作成を自分のペースで行うことになり、慣れない作業に手間取ると全体が長くなりがちです。補正が発生してやり直しになると、さらに時間がかかります。一方、依頼した場合は、書類収集や作成の多くを任せられるため、慣れた進め方で滞りにくくなることが多いとされています。どちらの場合も、話し合いがまとまるまでの時間は変わらないため、そこを早く動かすことが期間短縮の共通の鍵です。仕事などで平日に動きにくい方は、書類集めだけでも時間がかかりやすいため、その部分を依頼して全体を短くする、という選び方もあります。
期限に間に合わせるための考え方
相続登記には、原則として不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内という申請の期限があります。準備に時間がかかりやすいことを考えると、期限ぎりぎりから動き始めるのではなく、早めに書類集めや話し合いに着手しておくことが大切です。どうしても3年以内の申請が難しい見込みのときは、相続人申告登記でひとまず義務を果たす、という選択肢もあります。時間がかかりそうだと感じた時点で早めに動き出すことが、結局は最も確実な備えになります。ご自身のケースでどのくらいの期間がかかりそうか、期限に間に合うかに不安があるときは、無料相談で状況をお聞かせいただければ見通しをご案内できます。
ご相談にあたって
当事務所の相続登記・相続手続きのご相談は無料で、着手金もいただいていません。ご依頼の際は、司法書士報酬のほかに登録免許税・戸籍等取得費などの実費が別途必要です。
遺産分割に争いがある場合の代理交渉・調停・訴訟は弁護士、相続税の申告・税務相談は税理士の業務領域です。当事務所は司法書士事務所として、相続登記・法定相続情報一覧図の取得・相続放棄の申述書など裁判所提出書類の作成等に対応し、必要に応じて適切な専門家をご案内します。
必要な手続き・書類・費用は個別の事情により異なります。ご自身のケースの見通しは無料相談でご確認ください。