「親がどこにどんな不動産を持っていたのか、正確には分からない」——いざ相続の手続きを始めようとして、そう気づく方は少なくありません。自宅は分かっても、遠方の土地や、家族も知らなかった田畑・山林、私道やマンションの敷地の共有持分などが、後から見つかることもあります。相続登記は取得した不動産ごとに手続きが必要になり、把握もれがあると、あとから別の手続きや期限の問題が生じることもあります。だからこそ、まずは「何があるのか」を把握することが出発点です。この記事では、親の不動産を調べるための代表的な手がかりを、手元の書類から公的な制度の利用まで、順を追って整理します。調べても全体像がつかめないときにどう動けばよいか、専門家に依頼するという選択肢も含めてご案内します。不動産の把握は、その後の名義変更(相続登記)の土台になる大切な作業です。ここで漏れがあると、あとから別の不動産が見つかって手続きをやり直す、ということにもなりかねません。「どこにあるのかまったく見当がつかない」という状態からでも、確認できる方法はあります。まずは手元にある書類から、落ち着いて見ていきましょう。

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まずは手元の書類を確認する

最初の手がかりになるのは、毎年春ごろに市区町村から届く固定資産税の納税通知書です。ここには、その市区町村内で課税されている不動産の情報が記載されているため、どこに土地や建物があるかの目安になります。あわせて、権利証(登記識別情報通知)や、購入時・登記時の書類、通帳の引き落とし記録、金融機関からの郵便物なども確認すると、把握もれを減らせます。とくに固定資産税が口座から自動で引き落とされていた場合は、通帳の記録が有力な手がかりになります。ただし、納税通知書は市区町村ごとに届くため、複数の地域に不動産がある場合は、これだけでは全体像がつかめないこともあります。

名寄帳でその市区町村の不動産をまとめて確認する

ある市区町村に不動産がありそうだと分かったら、その市区町村で名寄帳(固定資産課税台帳を所有者ごとにまとめたもの)を取得すると、その地域で亡くなった方が所有していた不動産を一覧で確認できます。納税通知書には載りにくい、非課税とされている土地(私道など)が把握できることもあり、見落としを防ぐのに役立ちます。相続人であれば取得を請求できるのが一般的で、請求には亡くなった方との関係が分かる戸籍や、ご自身の本人確認書類などが必要になります。取得方法や必要書類、郵送請求ができるかどうかは市区町村によって異なるため、事前に窓口へ確認しておくとよいでしょう。

登記の内容を法務局で確認する

対象となりそうな不動産の見当がついたら、その不動産の登記事項証明書(登記簿の内容を証明した書類)を法務局で取得し、名義や権利関係を確認します。これは誰でも取得でき、現在の名義が亡くなった方のままか、抵当権などが設定されていないか、共有になっていないか、といった点が分かります。土地の正確な地番や家屋番号は、住所(住居表示)とは異なることがあるため、名寄帳や権利証、固定資産税の通知に記載された情報を手がかりに特定していきます。オンラインで登記情報を確認できるサービスもあり、遠方の不動産を調べる際に役立ちます。

所有不動産記録証明制度で全国分をまとめて調べる

名寄帳は市区町村ごとの確認になるため、全国のどこに不動産があるか見当がつかない場合には手間がかかります。こうした課題に対応するため、特定の人が名義人となっている不動産を全国的にまとめて確認できる、所有不動産記録証明制度という新しい仕組みが2026年2月から始まりました。相続人が、亡くなった方の名義の不動産の一覧の証明を請求できるもので、把握していなかった不動産の見落としを防ぐのに役立つと期待されています。ただし、氏名や住所の情報をもとに検索する仕組みであることから、実際にどこまで拾えるかには一定の留意点もあるとされています。制度の開始時期や請求の方法などの詳細は、法務省・法務局の一次情報での確認が確実です。

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調べた不動産をもとに手続きへ進む

不動産の全体像がつかめたら、それぞれの登記の状況を確認したうえで、名義変更(相続登記)の手続きへ進みます。あとから別の不動産が見つかると、その分について改めて期限や手続きが発生することもあるため、この段階でできるだけもれなく洗い出しておくことが大切です。田畑・山林・共有持分など、種類によって手続きや届出が異なる場合もあります。調査から登記まで一連の流れとして見通しておくと、次に何をすればよいかが分かりやすくなります。どこから手をつければよいか迷うときは、状況を一度整理してみることをおすすめします。

調べきれない・分からないと感じたときは

手元の書類や名寄帳をあたっても、不動産の全体像がつかめず、これで漏れがないのか不安になることもあります。とくに、遠方に不動産がある、先代・先々代から名義がそのままになっている、家族が不動産のことをよく把握していなかった、といった場合には、調査に手間と時間がかかります。相続人であることを示す戸籍をそろえたうえで、各市区町村の名寄帳や法務局の登記情報を一つずつ確認していくのは、慣れていないと負担の大きい作業です。こうした調査は、相続登記の手続きとあわせて司法書士に依頼することもできます。どこまで自分で調べ、どこから相談するかに決まりはありませんので、途中で行き詰まったと感じたら、それまでに分かっている情報を持って相談してみるのも一つの方法です。まずは分かる範囲で状況を整理しておくと、次の一歩が見えやすくなります。

ご相談にあたって

当事務所の相続登記・相続手続きのご相談は無料で、着手金もいただいていません。ご依頼の際は、司法書士報酬のほかに登録免許税・戸籍等取得費などの実費が別途必要です。

遺産分割に争いがある場合の代理交渉・調停・訴訟は弁護士、相続税の申告・税務相談は税理士の業務領域です。当事務所は司法書士事務所として、相続登記・法定相続情報一覧図の取得・相続放棄の申述書など裁判所提出書類の作成等に対応し、必要に応じて適切な専門家をご案内します。

必要な手続き・書類・費用は個別の事情により異なります。ご自身のケースの見通しは無料相談でご確認ください。