相続登記の義務化で過料の話を聞くと、「その過料は結局、誰が払うことになるのか」「兄弟のうち誰か一人が代表して払うのか」といった疑問を持つ方が多いと思います。相続登記の申請義務は、相続によって不動産を取得した相続人が負うものとされており、過料もその義務を負う人ごとに考えるのが基本です。また、「期限を過ぎたらすぐに過料になるのか」という点も気になるところですが、期限を過ぎても催告に応じて申請すれば過料に処されない運用が案内されています。この記事では、過料を負うのは誰か、そして期限が過ぎたあとの流れを整理します。
申請義務を負うのは「不動産を取得した相続人」
相続登記の申請義務は、相続によって不動産を取得したことを知った相続人が負うものとされています。したがって、過料についても、この申請義務を負う人が対象になるのが基本です。相続人全員が一律に等しく負うというよりも、その不動産を取得する立場にある人が義務を負う、という考え方です。
たとえば、遺産分割の話し合いがまとまり、特定の相続人がその不動産を取得することになった場合には、遺産分割が成立した日から一定の期間内に、その取得した相続人が登記を申請することとされています。この場合、不動産を取得しなかった他の相続人は、その登記についての申請義務を負わないと整理されています。
兄弟のうち特定の人が不動産を相続した場合に自分にも義務があるのか、過料が実際にどう運用されるのかは、別の記事で詳しく整理しています。
遺産分割前は相続人それぞれが義務を負う
一方、遺産分割の話し合いがまだ済んでいない段階では、法定相続の割合に応じて相続人それぞれが不動産を共有している状態と扱われます。この段階では、相続によって不動産を取得したことを知った相続人が、それぞれ申請義務を負うと整理されています。
話し合いがまとまらないまま期限が近づいている場合には、相続人申告登記という簡易な手続きによって、自分について申請義務を果たしたものとみなされる方法があります。これは各相続人が単独で申し出ることもできるとされています。誰がどの義務を負うのかは、遺産分割が済んでいるかどうかで変わってくる点を押さえておくとよいでしょう。
期限が過ぎたらどうなるか
「もう3年の期限を過ぎてしまったかもしれない」という場合でも、期限を過ぎた瞬間に自動的に過料が科される仕組みではないと案内されています。実務上は、登記官が申請義務違反を把握すると、まず相続人へ登記を促す催告が行われ、その催告に応じて申請すれば過料に処されない取扱いとされています。
したがって、期限を過ぎていることに気づいたら、放置せずに登記の準備を進めることが大切です。過料は「10万円以下」と定められており、金額は個別の事情に応じて判断されるとされています。過度に恐れる必要はありませんが、義務そのものは残るため、早めに手をつけておくことが望ましいといえます。
期限に間に合わないときの具体的な対処や、登記ができない事情が「正当な理由」に当たるかどうかは、次の記事で解説しています。
放置が続くと負担が重くなりやすい
登記を放置している間に、義務を負う相続人自身が亡くなると、その相続人の相続人へと相続が重なっていきます。すると、関わる人数が増え、必要な戸籍や書類も多くなり、手続きの負担が重くなりやすくなります。誰が過料を負うのかという点だけでなく、放置によって手続き全体が複雑になっていく点にも目を向けておくと、早めに動く判断がしやすくなります。
迷ったら早めに相談を
「自分が義務を負う立場なのか」「今から間に合うのか」といった点は、相続人の範囲や遺産分割の状況によって変わってきます。ご自身のケースでどうなるかは、無料相談で個別にご確認いただけます。状況を整理しながら、必要な手続きを一緒に考えてご案内します。
共有のまま放置すると起きやすいこと
遺産分割をしないまま、法定相続の割合で相続人全員が不動産を共有している状態が続くと、その後の管理や処分に全員の関与が必要になり、意見の調整が難しくなりやすいという事情があります。たとえば、その不動産を売却したり修繕したりしようとしても、共有者の一人でも所在が分からなかったり、話がまとまらなかったりすると、手続きが前に進まないことがあります。
また、共有状態のまま相続人の誰かが亡くなると、その持分がさらにその相続人へと引き継がれ、関わる人が次第に増えていきます。過料を誰が負うのかという点だけでなく、こうした共有の複雑化を避けるためにも、遺産分割と登記を早めに整理しておくことが、結果的にご家族の負担を軽くすることにつながります。登記が済んでいれば、その不動産をめぐって後の世代が困る場面も少なくなり、いざ売却や活用を考えたときにもスムーズに動けます。
どのように分けるのがよいか、誰がどの手続きを担うのがよいかは、ご家庭の状況によってさまざまです。迷ったときは、まず現状を整理するところから始めると、次に何をすればよいかが見えてきます。無料相談では、こうした整理のお手伝いもしています。
ご相談にあたって
当事務所の相続登記・相続手続きのご相談は無料で、着手金もいただいていません。ご依頼の際は、司法書士報酬のほかに登録免許税・戸籍等取得費などの実費が別途必要です。
遺産分割に争いがある場合の代理交渉・調停・訴訟は弁護士、相続税の申告・税務相談は税理士の業務領域です。当事務所は司法書士事務所として、相続登記・法定相続情報一覧図の取得・相続放棄の申述書など裁判所提出書類の作成等に対応し、必要に応じて適切な専門家をご案内します。
必要な手続き・書類・費用は個別の事情により異なります。ご自身のケースの見通しは無料相談でご確認ください。