相続登記の義務化では、正当な理由がないのに期限内に申請をしなかった場合に過料の対象となるとされています。裏を返せば、「正当な理由」があると認められる場合には過料の対象外とされる、ということです。では、どのような事情が正当な理由に当たるのでしょうか。この点については、法務省の通達で具体的な類型が示されています。この記事では、通達で挙げられている代表的な5つの類型を紹介しながら、正当な理由の考え方と、ご自身のケースが当てはまりそうかを確認する際の注意点を整理します。

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「正当な理由」があると過料の対象外とされる

相続登記の申請義務に違反した場合の過料は、正当な理由がないのに申請を怠ったときの定めとされています。つまり、登記をしたくてもできないやむを得ない事情がある場合には、正当な理由があるものとして過料の対象外とされる扱いがあります。どのような事情が正当な理由に当たるかは、法務省の通達で類型化して示されているとされています。

通達が示す5つの代表的な類型

通達では、正当な理由があると考えられる例として、次のような類型が挙げられているとされています。第一に、数次相続が重なるなどして相続人が極めて多数にのぼり、戸籍等の資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケースです。第二に、遺言の有効性や遺産の範囲などが争われていて、不動産を取得する人が定まらないケースです。第三に、申請義務を負う相続人自身に重病などの事情があるケースです。第四に、相続人が配偶者からの暴力などの被害を受けていて、その生命や身体に危害が及ぶおそれがある状態で避難を余儀なくされているケースです。第五に、相続人が経済的に困窮していて、登記に要する費用を負担する能力がないケースです。

これらはあくまで代表的な例として示されているもので、正当な理由に当たるかどうかは、最終的には個別の事情に応じて判断されるとされています。したがって、ここに挙げた類型に形式的に当てはまるかどうかだけでなく、実際の状況をふまえた確認が必要になります。

類型に当てはまりそうなときの注意点

ご自身の状況が正当な理由に当てはまりそうだと感じても、そのまま何も手続きをせずに放置してよい、というわけではありません。事情が解消したあとには、あらためて相続登記の申請が必要になると考えられます。たとえば、遺産分割の争いが解決した場合や、資料の収集が整った場合には、その後に登記を進めることになります。

また、正当な理由の有無は、書類や事情の説明によって示す必要がある場面もあります。自己判断で「正当な理由があるから大丈夫」と考えて長く放置してしまうと、後になって相続がさらに重なり、手続きがより複雑になることもあります。判断に迷う場合は、専門家に相談して状況を整理しておくと安心です。

過料が実際にどのように運用されているのかや、遺産分割の話し合いがまとまらないときの進め方については、別の記事で整理しています。

期限に間に合わないときの選択肢

正当な理由に当たるかどうかがはっきりしない場合でも、期限までに本来の相続登記が難しいときには、相続人申告登記という簡易な手続きを利用できる場合があります。これは、自分が相続人であることを法務局に申し出ることで、いったん申請義務を果たしたものとみなされる制度とされています。ただし、権利関係を公示するものではないため、後日あらためて相続登記が必要になる点には注意が必要です。

相続人申告登記の位置づけや、相続登記とどちらを選ぶべきかは、次の記事で解説しています。

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迷ったら早めに相談を

正当な理由に当たるかどうかの判断は、専門的で分かりにくい部分があります。ご自身のケースがどのように扱われそうか、どの手続きを選ぶのがよいかといった見通しは、無料相談で個別にご確認いただけます。事情を整理しながら、必要な段取りを一緒に考えてご案内します。

「正当な理由」と相続人申告登記の使い分け

正当な理由があると認められる場合は過料の対象外とされますが、その判断は個別の事情によるため、「自分は当てはまるはず」と考えて何も手続きをしないでいると、思わぬ形で手続きが遅れてしまうことがあります。そこで、正当な理由に当たるかどうかがはっきりしないときには、まず相続人申告登記で当面の申請義務を果たしておく、という進め方も選択肢になります。

相続人申告登記は、自分が相続人であることを法務局に申し出る簡易な手続きで、これによって、いったん申請義務を果たしたものとみなされるとされています。正当な理由の有無を待つあいだの当面の備えとして利用できる場合があります。ただし、これは権利関係を公示するものではないため、事情が整ったあとにはあらためて相続登記が必要になる点には注意が必要です。

どちらの対応が適しているかは、遺産分割がどの程度進んでいるか、必要な書類がどれくらい集まっているかによって変わってきます。判断に迷う場面では、状況を整理したうえで見通しを確認しておくと、期限に追われて焦ることなく落ち着いて対応できます。

ご相談にあたって

当事務所の相続登記・相続手続きのご相談は無料で、着手金もいただいていません。ご依頼の際は、司法書士報酬のほかに登録免許税・戸籍等取得費などの実費が別途必要です。

遺産分割に争いがある場合の代理交渉・調停・訴訟は弁護士、相続税の申告・税務相談は税理士の業務領域です。当事務所は司法書士事務所として、相続登記・法定相続情報一覧図の取得・相続放棄の申述書など裁判所提出書類の作成等に対応し、必要に応じて適切な専門家をご案内します。

必要な手続き・書類・費用は個別の事情により異なります。ご自身のケースの見通しは無料相談でご確認ください。