相続登記の義務化をきっかけに、「相続人申告登記」という手続きがあることを知り、本来の相続登記とどちらを選べばよいのか迷う方が増えています。相続人申告登記は、期限内に義務を果たすための簡易な手続きとして注目されていますが、本来の相続登記とは役割が異なり、どちらにも向き・不向きがあります。この記事では、二つの手続きの違いと、それぞれのメリット・注意点を整理しながら、どのように選べばよいかの考え方をお伝えします。特に、相続人申告登記だけでは足りない場面がある点は、あらかじめ知っておくことが大切です。

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二つの手続きは役割が違う

相続登記は、亡くなった方の名義になっている不動産を、実際にその不動産を取得した相続人の名義に変える手続きです。これによって、誰がその不動産を所有しているかが登記簿に公示されます。一方、相続人申告登記は、登記上の所有者が亡くなったことと、自分がその相続人であることを法務局に申し出る手続きで、申請義務を果たしたものとみなすためのものとされています。

つまり、相続登記は権利関係を確定して公示する手続きであるのに対し、相続人申告登記は当面の申請義務を果たすための手続き、という違いがあります。この役割の違いが、選び方を考えるうえでの出発点になります。

相続人申告登記のメリット

相続人申告登記の利点は、手続きが比較的簡易な点にあります。遺産分割の話し合いがまとまっていなくても、自分が相続人であることを示す戸籍等を用意すれば申し出ることができるとされており、相続人が単独で申し出ることも可能とされています。本来の相続登記に比べて用意する書類が軽く済む場合が多く、また、この申出には登録免許税がかからないとされています。期限が迫っているときの当面の対応としては利用しやすい手続きです。

相続人申告登記を単独で申し出る方法や、Webを使った申出のやり方は、別の記事で解説しています。

相続人申告登記だけでは足りない場面

一方で、相続人申告登記は権利関係を公示するものではないとされています。この点が、選ぶうえで最も重要な注意点です。登記簿には相続人として申出があったことが記録されますが、誰がその不動産を最終的に取得したかまでは確定しません。

そのため、その不動産を売却したり、担保に入れて融資を受けたりする場面では、相続人申告登記だけでは対応できず、あらためて本来の相続登記が必要になります。また、遺産分割の話し合いがまとまった場合には、その成立した日から一定の期間内に、取得した相続人が本来の相続登記を申請することとされています。つまり、相続人申告登記をしても、後日あらためて相続登記が必要になる場面がある、という点を押さえておく必要があります。

どちらを選べばよいか

遺産分割の話し合いが済んでいて、誰がその不動産を取得するかが決まっているのであれば、はじめから本来の相続登記を申請しておくと、後からもう一度手続きをする手間が省けます。一方、話し合いがまとまらず期限が迫っている場合や、当面は売却などの予定がない場合には、まず相続人申告登記で義務を果たしておき、状況が整ってから本来の相続登記を進める、という進め方も考えられます。どちらが適しているかは、遺産分割の状況やその不動産をどうしたいかによって変わってきます。

期限に間に合わないときの対処や、本来の相続登記に必要な書類については、別の記事で整理しています。

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迷ったら早めに相談を

二つの手続きは、名前が似ているために混同されやすく、どちらを選ぶべきか判断に迷う場面が少なくありません。ご自身のケースで、どちらの手続きが向いているか、将来その不動産をどうしたいかをふまえた見通しは、無料相談で個別にご確認いただけます。状況を整理しながら、必要な段取りをご案内します。

費用の面から見た違い

二つの手続きは、かかる費用の面でも違いがあります。本来の相続登記では、名義を変更する際に登録免許税という税金が必要になるとされています。一方、相続人申告登記の申出には、登録免許税がかからないとされています。この点だけを見ると相続人申告登記の方が負担が軽いように見えますが、注意が必要です。

相続人申告登記をした後に、あらためて本来の相続登記をする場合には、その時点で相続登記に必要な費用がかかることになります。つまり、当面の負担は軽くても、最終的には本来の相続登記の費用が別途必要になる場面がある、ということです。目先の費用だけでなく、その不動産を最終的にどうしたいかまで見据えて選ぶことが大切です。たとえば近いうちに売却や名義の整理を考えているのであれば、はじめから本来の相続登記を済ませておく方が、二度手間を避けられ、結果的に手間も費用もまとまることがあります。

登録免許税の考え方や、相続登記全体でかかる費用の内訳については、費用をテーマにした記事で整理しています。ご自身のケースでどのくらいの費用がかかりそうかは、状況をお伺いしたうえで無料相談でご確認いただけます。

ご相談にあたって

当事務所の相続登記・相続手続きのご相談は無料で、着手金もいただいていません。ご依頼の際は、司法書士報酬のほかに登録免許税・戸籍等取得費などの実費が別途必要です。

遺産分割に争いがある場合の代理交渉・調停・訴訟は弁護士、相続税の申告・税務相談は税理士の業務領域です。当事務所は司法書士事務所として、相続登記・法定相続情報一覧図の取得・相続放棄の申述書など裁判所提出書類の作成等に対応し、必要に応じて適切な専門家をご案内します。

必要な手続き・書類・費用は個別の事情により異なります。ご自身のケースの見通しは無料相談でご確認ください。