「相続人どうしの話し合いがまとまらず、名義変更が進められない」「そうしている間に、相続登記の期限が来てしまうのではないか」——遺産分割協議が難航しているとき、期限の存在は大きな不安になります。話し合いが決着しないと通常の相続登記まで進めないのは事実ですが、そのままでは義務を果たせない、というわけではありません。まず期限の面の不安を切り離してから、話し合いをどう前に進めるかを落ち着いて考えることができます。この記事では、協議がまとまらないときに、期限との関係でどう対応できるのか、どのような選択肢があるのか、そして状況に応じた相談先を、順を追って整理します。話し合いが難しいと感じるときほど、まず期限の不安を切り離し、次に状況を落ち着いて見極めることが役立ちます。手続きの整理で前に進む場合と、代理人による交渉が必要な場合とでは、相談先も変わってきます。ご自身の状況がどちらに近いのかを一緒に確認しながら、進め方を考えていきましょう。一人で抱え込まず、できるところから手をつけていくことが解決への近道になります。

相続登記のご相談はこちら

協議がまとまらなくても、まず義務は果たせる

遺産分割の話し合いが続いている間でも、相続人申告登記という簡易な手続きを利用すれば、ひとまず相続登記の申請義務を果たしたものとして扱われます。これは、自分が相続人であることを法務局に申し出るもので、他の相続人の同意がなくても、原則として一人で手続きできるとされています。必要な書類も、通常の相続登記に比べて軽いのが一般的です。期限が近づいて焦りを感じているときは、まずこの手続きで義務の面の不安を解消しておき、そのうえで話し合いにじっくり向き合う、という進め方が現実的な選択肢になります。期限に追われながら不利な条件で妥協してしまう、という事態を避けることにもつながります。

相続人申告登記だけでは終わらない点に注意

相続人申告登記は、あくまで義務を履行したものとして扱うための簡易な手続きであり、その不動産の所有権を公示するものではありません。そのため、その不動産を売却したり、担保に入れたりするには、あらためて通常の相続登記が必要です。また、後日、遺産分割が成立して不動産を取得した場合には、その成立の日を起点として、あらためて3年以内に登記をすることが求められます。つまり、申告登記はいったんの対応であり、これで手続きがすべて完了するわけではありません。いずれは分割をまとめて本来の登記へ進むことを見据えたうえで、当面の期限への備えとして活用する、という位置づけで考えておくことが大切です。

まず「なぜまとまらないのか」を切り分ける

ひとくちに「まとまらない」といっても、その中身はさまざまです。相続人が遠方にいて連絡が取りにくい、みな忙しくて話す機会がない、誰も手続きを進めようとしない、といった段階であれば、書類を整えて具体的な案を示すことで、話が動き出すことも少なくありません。一方で、分け方や評価をめぐって相続人どうしの主張が対立している場合は、性質が異なります。今の状況が、手続きが進んでいないだけなのか、それとも利害の対立があるのかを切り分けることが、次にどこへ相談すればよいかを見極める手がかりになります。

その不動産を引き継がない意思があるとき

「借金や管理の負担が心配で、そもそも相続そのものを引き継ぎたくない」という場合には、家庭裁判所への相続放棄という手続きが選択肢になることがあります。相続放棄をすると、その相続については初めから相続人でなかったものとして扱われます。ただし、他のプラスの財産も含めて引き継げなくなること、原則として相続の開始を知った時から一定の期間内に手続きをする必要があることなど、判断には注意すべき点があります。当事務所は、司法書士として相続放棄の申述書など裁判所へ提出する書類の作成をサポートします(代理人として交渉や手続きを行うものではありません)。

相続登記のご相談はこちら

感情的な対立・争いがあるときの相談先

分け方をめぐって相続人どうしが対立し、代理人を立てての交渉や、家庭裁判所での調停・審判が必要になるような争いがある場合は、弁護士の業務領域です。司法書士は、こうした紛争性のある遺産分割について、当事者の代理人として相手方と交渉することはできません。当事務所は司法書士事務所として、相続登記や、相続放棄の申述書など裁判所へ提出する書類の作成に対応し、争いのある事案では、必要に応じて弁護士など適切な専門家をご案内します。ご自身の状況が、手続きの整理で前に進むものなのか、代理人による交渉が必要なものなのかを一緒に確認し、適切な相談先へつなぐお手伝いができます。まずは今の状況を整理してみることが、解決への近道になります。

話し合いを前に進めるための準備

話し合いが動き出さない背景には、「何をどう決めればよいのか分からない」という戸惑いがあることも少なくありません。そうした場合は、まず判断の材料をそろえておくと、議論が具体的になります。たとえば、相続人が誰かをはっきりさせる戸籍、どんな不動産や財産があるかを示す資料、不動産のおおよその評価が分かるものなどです。現物分割・代償分割・換価分割といった一般的な分け方の類型を知っておくと、感情的な対立とは別に、事実にもとづいて話を進めやすくなることもあります。当事務所は、登記に必要な書類の収集・作成や、手続き面の整理をお手伝いすることができます。話し合いそのものの代理や、争いのある事案での交渉・調停は弁護士の業務領域であり当事務所は行いませんが、前に進むための土台づくりを支えることで、結果として合意に近づくお手伝いができる場合があります。まずは、今そろっている情報と、足りない情報を切り分けるところから始めてみてください。

ご相談にあたって

当事務所の相続登記・相続手続きのご相談は無料で、着手金もいただいていません。ご依頼の際は、司法書士報酬のほかに登録免許税・戸籍等取得費などの実費が別途必要です。

遺産分割に争いがある場合の代理交渉・調停・訴訟は弁護士、相続税の申告・税務相談は税理士の業務領域です。当事務所は司法書士事務所として、相続登記・法定相続情報一覧図の取得・相続放棄の申述書など裁判所提出書類の作成等に対応し、必要に応じて適切な専門家をご案内します。

必要な手続き・書類・費用は個別の事情により異なります。ご自身のケースの見通しは無料相談でご確認ください。