マンションを相続したときの名義変更も、基本的な流れは一戸建てと同じですが、登記の書き方には少し特殊なところがあります。マンションは、部屋そのものと、その建物が建っている土地の権利がセットになった「敷地権付き区分建物」という形をとることが多く、申請書での不動産の書き方や登録免許税の考え方が一戸建てと異なる場合があるためです。特殊に見える部分も、仕組みを理解すれば整理できます。この記事では、マンションの相続登記で押さえておきたいポイントを、順を追って整理します。まずはご自身のマンションがどんな形で登記されているかを確認するところから始めましょう。
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マンションは「専有部分」と「敷地権」がセット
分譲マンションの一室は、法律上「区分建物」と呼ばれ、建物のうち自分が所有する部屋の部分(専有部分)と、その建物が建つ土地を利用する権利(敷地利用権)から成り立っています。多くのマンションでは、この土地の権利が「敷地権」として建物の登記記録に一体で登録されており、部屋と土地を切り離して別々に売ったり相続したりできないようになっています。
このように土地の権利が敷地権として建物と一体化しているマンションでは、相続登記も建物の登記の中で土地の権利まで一緒に扱われるのが特徴です。一戸建てのように、土地と建物を別々の不動産として登記するのとは進め方が変わってきます。
敷地権付きかどうかは登記事項証明書の表題部で確認する
ご自身のマンションが敷地権付きかどうかは、法務局で取得できる登記事項証明書(建物)で確認できます。表題部に「敷地権の目的たる土地の表示」と「敷地権の表示」の欄があり、土地の符号・所在及び地番・地目・地積、そして敷地権の種類(多くは所有権)と敷地権の割合が記載されていれば、敷地権付きの区分建物です。この欄がなく、土地の権利が建物の登記と一体になっていない場合は、土地と建物を別々に登記する形ですので、土地の登記事項証明書も取り寄せて確認します。
敷地権の割合は「10000分の40」のように分数で示されます。後で触れる登録免許税の計算では、この割合を使って敷地全体の評価額から自分の部屋にあたる分を求めますので、証明書を取り寄せたら、まずこの欄を確認しておくと手続きが進めやすくなります。
敷地権付きマンションの相続登記の特徴
敷地権が登録されているマンションでは、区分建物についての相続登記を申請すれば、その中で敷地権(土地の権利)についても一体で名義が移るのが一般的です。土地を別に登記する必要がないため、手続きが一つにまとまる利点があります。
一方で、申請書に記載する不動産の表示は一戸建てより複雑になりがちです。建物全体を表す「一棟の建物の表示」、相続する部屋を表す「専有部分の建物の表示」、土地の権利を表す「敷地権の表示」といった項目を、登記記録の内容にあわせて正確に書き写す必要があります。記載に誤りがあると登記が受け付けられないことがあるため、登記事項証明書を取り寄せて内容を確認しながら作成することが大切です。
一戸建てでは土地と建物をそれぞれ登記する必要があるのに対し、敷地権付きマンションでは一つの申請にまとまるため、手続きの件数という点では負担が少なくてすむ面もあります。ただし、その分、登記記録を正確に読み取って申請書に書き写す作業が求められる点は変わりません。慣れない方は、記載例と登記事項証明書を照らし合わせながら進めると安心です。
申請書の不動産の表示のイメージ
申請書に書く内容のイメージを、架空の例でご紹介します。「一棟の建物の表示」には所在と建物の名称(例:○○市○○町一丁目1番地1、○○マンション)、「専有部分の建物の表示」には家屋番号・建物の名称(部屋番号)・種類・構造・床面積(例:家屋番号 ○○町一丁目1番1の305、居宅、鉄筋コンクリート造1階建、3階部分65.32平方メートル)、「敷地権の表示」には土地の符号・所在及び地番・地目・地積、敷地権の種類と割合(例:所有権、10000分の40)を、いずれも登記事項証明書のとおりに書き写します。
書き写しの手間を減らす方法として、不動産番号を記載すると不動産の表示の記載を省略できるとされています。ただし、記載の方法は法務局の案内で変わることがありますので、申請の前に最新の案内(下の出典の登記手続ハンドブックなど)をご確認ください。
マンションの登録免許税の考え方
相続登記でかかる登録免許税は、不動産の固定資産税評価額をもとに計算するのが基本です。敷地権付きマンションの場合は、専有部分(部屋)の評価額に加えて、敷地権の評価額もあわせて課税の対象になります。
敷地権の評価額は、マンションの敷地全体の評価額に、その部屋が持つ敷地権の割合を掛けて求める考え方が一般的です。専有部分と敷地権の評価額を合計したうえで税率を掛けて計算するため、土地の分を見落とさないよう注意が必要です。具体的な税率や計算方法は次の記事で整理していますので、あわせてご確認ください。
計算のイメージを、架空の数字でご紹介します。専有部分の固定資産税評価額が1500万円、マンションの敷地全体の評価額が2億円で、敷地権の割合が10000分の40だとします。敷地権の評価額は2億円に10000分の40を掛けた80万円ですので、専有部分とあわせた課税の対象は1580万円になります。これに税率0.4%を掛けた6万3200円が、登録免許税の目安です。敷地権の分を加えずに部屋の評価額だけで計算すると、6万円となり、実際の目安より少なく見積もってしまいます。
なお、評価証明書や課税明細の書き方は市区町村によって異なり、敷地権の評価額がすでに部屋ごとに按分されて記載されている場合もあります。数字の見方に迷うときは、評価証明書を取得した市区町村の窓口か、無料相談でご確認ください。
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評価額の確認でつまずきやすいところ
マンションの相続登記では、敷地権の評価額の確認でつまずくことがあります。固定資産税の課税明細では敷地全体の評価額が示されていることがあり、そこから自分の部屋の持分にあたる部分を計算する必要が出てくる場合があるためです。敷地権の割合は登記記録に記載されているので、登記事項証明書とあわせて確認します。
古いマンションでは、土地の権利が敷地権として一体化されておらず、土地と建物を別々に登記する形になっていることもあります。この場合は登記の件数や書き方など手続きの進め方が変わります。ご自身のマンションがどちらの形かは登記記録で確認でき、判断に迷うときは無料相談でご確認いただけます。費用の全体像は次の記事もあわせてご覧ください。
住宅ローンが残っていた場合の抵当権
亡くなった方が住宅ローンを組んでいたマンションでは、登記事項証明書の権利部(乙区)に抵当権が記録されていることがあります。ローンを完済していても、抵当権の登記は自動では消えないため、残っている場合は抵当権の抹消登記を別に申請する必要があります。これは相続登記とは別の手続きで、ローンの完済後に金融機関から受け取る書類などが必要になります。ローンが残っている場合の扱いは契約内容によって変わりますので、金融機関にご確認ください。
相続登記には申請の期限がある
マンションの相続登記も、一戸建てと同じく申請が義務になっています。2024年4月1日からの義務化により、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が求められ、義務化より前に発生した過去の相続についても経過措置として2027年3月31日までに申請する扱いとされています。正当な理由なく期限内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得るとされています。相続人の間の話し合いがまとまらない場合などに利用できる制度もありますので、期限が近いときは早めにご相談ください。
登記のあとに必要になりやすい手続き
マンションの相続登記が済んだら、あわせて管理組合への手続きも忘れないようにしたい点です。多くのマンションでは、区分所有者が変わったときに管理組合へ届け出る仕組みがあり、管理費や修繕積立金の請求先を新しい所有者へ切り替えてもらう必要があります。届け出をしないままだと、請求書が届かなかったり、総会の案内が前の名義のままになったりすることがあります。
また、管理費や修繕積立金に滞納があった場合、その支払い義務は新しい区分所有者に引き継がれることがあるとされています。相続したマンションに滞納がないか、管理組合や管理会社に確認しておくと安心です。こうした登記のあとの手続きも含めて、全体の流れを早めに把握しておくと、抜け漏れを防ぎやすくなります。
兄弟姉妹など複数人で一つのマンションを共有で相続する場合は、持分をどう分けるかによって、その後の売却や賃貸で全員の関わりが必要になることがあります。共有にするか、一人が取得するかは、将来の使い方も見据えて話し合っておくとよいでしょう。判断に迷うときは、無料相談で進め方を整理していただけます。
ご相談にあたって
当事務所の相続登記・相続手続きのご相談は無料で、着手金もいただいていません。ご依頼の際は、司法書士報酬のほかに登録免許税・戸籍等取得費などの実費が別途必要です。
遺産分割に争いがある場合の代理交渉・調停・訴訟は弁護士、相続税の申告・税務相談は税理士の業務領域です。当事務所は司法書士事務所として、相続登記・法定相続情報一覧図の取得・相続放棄の申述書など裁判所提出書類の作成等に対応し、必要に応じて適切な専門家をご案内します。
必要な手続き・書類・費用は個別の事情により異なります。ご自身のケースの見通しは無料相談でご確認ください。