親から田畑や山林を相続したとき、宅地の相続とは少し違う手続きが必要になることがあります。農地や森林は、所有者が変わったことを行政機関に届け出る仕組みが別に設けられており、相続登記とあわせて対応が必要になる場合があるためです。届出には期限の目安があるため、相続が起きたら早めに全体像を確認しておくと安心です。この記事では、農地・山林を相続したときの届出の種類と届出先、期限の目安、相続登記との関係を、慌てずに進められるよう順を追って整理します。一つずつ押さえていけば、落ち着いて対応できます。
農地・山林は相続登記に加えて「届出」が必要なことがある
農地や山林も、不動産である以上、名義を相続人に変える相続登記の対象になります。加えて、農地には農地法にもとづく届出、森林(山林)には森林法にもとづく届出という、登記とは別の手続きが定められています。これらは、耕作放棄や無届の権利移動を防いだり、森林の適切な管理につなげたりするための仕組みとされています。
つまり、農地・山林の相続では「相続登記」と「行政機関への届出」という別々の手続きがあり、両方を意識しておく必要があります。まず、その土地が農地なのか森林なのか、地目や現況を確認するところから始めると整理しやすくなります。相続登記の対象になる不動産の範囲については、次の記事でも整理しています。
農地や山林が相続財産に含まれているかどうかは、意外と見落とされがちです。遠方にあって現地を見たことがない土地や、名寄帳で初めて存在に気づく土地もあります。まずは被相続人がどんな不動産を持っていたのかを把握することが、必要な手続きを漏らさないための第一歩になります。
農地を相続したときの届出(農業委員会)
農地を相続で取得したときは、その農地がある市区町村の農業委員会に届け出ることとされています。相続による取得は農地法の許可までは求められないものの、取得したことを知った時からおおむね10か月以内に届け出るという期限が案内されているのが一般的です。届出をしなかったり虚偽の届出をしたりした場合には過料の定めがあるとされています。
農地は、売却や転用に制限がかかることがあり、宅地のように自由に処分しにくい面があります。相続したものの使う予定がない農地については、届出とあわせて今後どうするかを早めに考えておくと安心です。手放す方向を検討する場合の選択肢は、次の記事でも整理しています。
山林(森林)を相続したときの届出(市町村)
森林の土地を相続などで新たに所有することになったときは、その森林がある市町村へ届け出ることとされています。相続の場合、所有者となった日からおおむね90日以内に届け出るという期限が案内されているのが一般的で、農地の届出とは期限の数え方が異なる点に注意が必要です。こちらも届出を怠った場合の過料の定めがあるとされています。
山林は境界がはっきりしないことや、現地の確認が難しいことも多く、そもそも相続した土地に山林が含まれているかを把握しづらい場合があります。固定資産税の課税明細や名寄帳などで所有している不動産を確認し、地目に「山林」があれば届出の要否を確認しておくとよいでしょう。
届出と相続登記は期限も窓口も別なので早めの確認を
農地や山林の届出は、相続登記とは期限も申請先も別の手続きです。相続登記は法務局、農地の届出は農業委員会、森林の届出は市町村と、窓口が分かれています。それぞれに期限の目安があるため、相続が起きたら早めに全体像を確認し、抜け漏れがないように進めることが大切です。
期限の日数や過料の具体的な内容は、制度や運用の見直しによって変わることもあります。ご自身のケースで必要な手続きや期限は、各窓口や一次情報で確認することをおすすめします。相続登記の必要書類については、次の記事もあわせてご覧ください。判断に迷うときは、無料相談で全体の進め方をご確認いただけます。
地目と現況が違うときの注意点
登記記録上の地目が「田」「畑」「山林」となっていても、実際には長年使われずに宅地のようになっていたり、逆に地目が別でも現況は農地だったりと、登記と現況がずれていることがあります。届出が必要かどうかは、登記上の地目だけでなく現況もふまえて判断されることがあるため、判断に迷う場合は各窓口に確認しておくと安心です。自己判断で届出を省いてしまうと、あとから対応が必要になることもあるため、少しでも迷ったら早めに問い合わせておくとよいでしょう。
また、農地の相続では、相続で取得したこと自体には許可がいらなくても、その後に農地を宅地などへ転用したり、農家以外の人へ売却したりする場面では、別の許可や手続きが必要になることがあります。相続した農地・山林を今後どうしたいのかによって、必要な手続きは変わってきます。
使う予定のない農地や山林は、貸す・売る・手放すといった選択肢を早めに検討しておくと、管理の負担を抱え込まずにすみます。ただし、それぞれに条件や手続きがあり、一律に進められるわけではありません。ご自身の土地でどのような選択肢があるかは、現況や地目を確認したうえで、無料相談で整理していただけます。まずは状況を把握することが出発点になります。
ご相談にあたって
当事務所の相続登記・相続手続きのご相談は無料で、着手金もいただいていません。ご依頼の際は、司法書士報酬のほかに登録免許税・戸籍等取得費などの実費が別途必要です。
遺産分割に争いがある場合の代理交渉・調停・訴訟は弁護士、相続税の申告・税務相談は税理士の業務領域です。当事務所は司法書士事務所として、相続登記・法定相続情報一覧図の取得・相続放棄の申述書など裁判所提出書類の作成等に対応し、必要に応じて適切な専門家をご案内します。
必要な手続き・書類・費用は個別の事情により異なります。ご自身のケースの見通しは無料相談でご確認ください。