相続登記の書類をそろえていると、「印鑑証明書は誰の分が必要なのか」「取ってから何か月以内のものを使うのか」と迷う方が少なくありません。印鑑証明書は、住民票や戸籍のように全員分を一律に集めるものではなく、どの方法で相続登記をするかによって要否が変わります。この記事では、法務省の「登記手続ハンドブック」の説明をもとに、印鑑証明書が必要になる場面、誰の分を用意するか、有効期限の扱い、取り方を順に整理します。

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印鑑証明書が出てくるのは遺産分割協議にもとづく相続登記

法務省の登記手続ハンドブック(遺産分割協議編)では、遺産分割協議にもとづく相続登記の添付書類として、遺産分割協議書とその印鑑証明書が挙げられています。協議書には、相続人全員が印鑑証明書と同じ印(実印)を押し、その印鑑証明書を各1通添付する、という説明です。つまり、相続人どうしが話し合って「誰がどの不動産を取得するか」を決めた場合に、協議書とセットで印鑑証明書が必要になります。

一方、同じ法務省のハンドブックの法定相続編(法定相続分どおりに登記する場合)の添付書類の説明には、印鑑証明書は出てきません。協議書がない分、実印や印鑑証明書を集める場面もないということです。ただし、遺言にもとづく場合など、相続の形によって必要書類は変わります。ご自身がどのパターンに当たるかは、必要書類の全体像の記事もあわせてご覧ください。

誰の分の印鑑証明書を用意するか

ハンドブックには、遺産分割協議を行った相続人の印鑑証明書を各1通添付すると書かれています。ただし、その注記として「登記申請人である相続人を除く」とも書かれています。登記申請人とは、不動産を取得して自分で登記を申請する相続人のことです。協議に参加した相続人のうち、申請人以外の方の分を用意する、という読み方になります。

誰が登記申請人になるかによって、用意する人数が変わります。人数分を取り寄せてから足りない、あるいは余った、ということがないよう、取得を依頼する前に管轄の法務局や専門家へ確認しておくと安心です。協議書のほうは、相続人全員が実印を押します。書き方は遺産分割協議書の記事で整理しています。

有効期限は「3か月以内」と決まっているのか

銀行などの手続では「発行から3か月以内」といった期限を求められることがあるため、相続登記でも同じだと思われがちです。しかし法務省のハンドブックには、遺産分割協議書に添付する印鑑証明書について「作成後3か月以内のものといった制約はありません」と明記されています。相続登記の申請では、取得から日がたった印鑑証明書でも、この点では使えると読めます。

ここで注意したいのは、この説明は法務局への相続登記の申請についてのものだという点です。預貯金の払戻しや、そのほかの機関への提出では、それぞれの機関が独自に期限を定めている場合があります。同じ印鑑証明書を複数の手続に使い回すつもりなら、提出先ごとに確認しておくと、取り直しの手間を避けやすくなります。また、添付書類は原本の提出が求められ、コピーは認められていません。一定の場合には原本の還付を請求できるため、他の手続でも使いたい場合は申請の際に法務局へご確認ください。

印鑑証明書の取り方|窓口とコンビニ交付

印鑑証明書(印鑑登録証明書)は、印鑑登録をしている市区町村が発行します。窓口での手続は、必要なもの、手数料、代理人が請求するときの扱いが市区町村により異なります。たとえば横浜市の案内では、市内で印鑑登録をしている方とその代理人が、区役所や行政サービスコーナーで請求できるとされ、申請書と印鑑登録証またはマイナンバーカードが必要と示されています。お住まいの市区町村の案内を事前にご確認ください。

マイナンバーカード(またはスマホ用電子証明書を搭載したスマートフォン)をお持ちの場合は、コンビニ交付で取得できることもあります。地方公共団体情報システム機構(J-LIS)のコンビニ交付の案内では、取得できる証明書に印鑑登録証明書が含まれ、利用時間は毎日6時30分から23時00分までと示されています。ただし、市区町村によっては利用時間が制限されている場合があり、取得できる証明書も市区町村によって異なります。お住まいの市区町村が対象かどうかは、同サイトの「利用できる市区町村」のページで確認できます。手数料は市区町村により異なります。

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委任状との関係

登記の申請を司法書士などの代理人に任せる場合は、申請人から代理人への委任状(代理権限を証する情報)も必要になります。ハンドブックでも、相続人の間で申請を委任する場合やほかの代理人に委任する場合には、代理権限証明情報の作成・添付が必要だと説明されています。委任状は印鑑証明書とは別の書類で、役割も違います。委任状の書き方や押印については次の記事で整理しています。

取り寄せる前に確認しておきたいこと

協議書に押す印は、印鑑証明書と同じ印(実印)とされています。押印の前に、印影が登録のものと合っているかを確認しておくと安心です。相続人が遠方に住んでいる場合は、協議書の郵送と印鑑証明書の取得を並行して進めることになるため、誰がいつまでに何を用意するかを整理しておくとスムーズです。戸籍など、ほかの書類の集め方は戸籍の記事で整理しています。

司法書士に任せられる範囲

司法書士は、相続登記の申請の代理や、そのために必要な書類の収集・作成の補助を行うことができます。どの相続人の印鑑証明書が必要か、協議書の内容と合っているかといった点は、書類を確認しながら整理することもできます。一方、相続人どうしの話し合いがまとまらない場合の代理交渉は弁護士、相続税の判断は税理士の業務領域です。

ご相談にあたって

当事務所の相続登記・相続手続きのご相談は無料で、着手金もいただいていません。ご依頼の際は、司法書士報酬のほかに登録免許税・戸籍等取得費などの実費が別途必要です。

遺産分割に争いがある場合の代理交渉・調停・訴訟は弁護士、相続税の申告・税務相談は税理士の業務領域です。当事務所は司法書士事務所として、相続登記・法定相続情報一覧図の取得・相続放棄の申述書など裁判所提出書類の作成等に対応し、必要に応じて適切な専門家をご案内します。

必要な手続き・書類・費用は個別の事情により異なります。ご自身のケースの見通しは無料相談でご確認ください。