相続登記の書類を集めはじめると、「住民票」「住民票の除票」「戸籍の附票」と、似た名前の書類が並んでいて、どれを誰の分だけ取ればよいのか迷いやすいところです。これらは、相続登記で「誰が不動産を取得するのか」と「登記簿に載っている名義人と亡くなった方が同一人物か」を示すために使う、住所に関する書類です。この記事では、法務局の案内にもとづいて、取得する相続人の住所を示す住民票と、被相続人の住所をつなぐ除票・附票のそれぞれについて、誰の分が必要になるのか、どこで取るのか、取るときに気をつけたい点を順に整理します。

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住所に関する書類は2つの場面で使う

相続登記の添付書類のうち、住所に関わるものは、大きく2つの場面に分かれます。1つめは、不動産を取得する相続人の住所を示す書類で、法務局の案内では「住所を証する書面(住所証明情報)」として、相続人の住民票の写しを添付するとされています。2つめは、亡くなった方(被相続人)の登記簿上の住所と、戸籍に記載された本籍が異なる場合に、戸籍上の被相続人と登記簿上の名義人が同じ人であることを示すための書類です。こちらは住民票の除票や戸籍の附票などを使い、登記簿上の住所と本籍が異なる場合に必要になる、という位置づけです。

不動産を取得する相続人の住民票

不動産を取得する相続人については、住所地の市区町村が発行する住民票の写しを、住所証明情報として添付します。法務局の記載例では、申請に係る不動産を相続することになった相続人全員の住民票の写しとされており、市区町村が発行した証明書の原本を添付します。有効期限は定められていません。また、マイナンバー(個人番号)が記載されていない住民票の写しを提出するよう案内されています。請求のときにマイナンバーの記載を省いた形で取得できるかどうかは、請求先の市区町村の案内で確認しておくと安心です。

なお、登記申請書に相続人の住民票コードを記載した場合には、住所証明情報としての住民票の写しの添付を省略できるとされています。また、法定相続情報一覧図の写しを登記原因証明情報として提出する場合に、その写しに相続人の現在の住所が記載されているときは、住所証明書の添付に代えることができる、という案内もあります。どちらの方法が使えるかは申請の進め方によって変わるため、利用する前に法務局の記載例の注記で確認してください。

被相続人の登記簿上の住所と最後の住所をつなぐ書類

被相続人の登記簿上の住所が、戸籍に記載された本籍と異なる場合には、次のいずれかの書類を添付すると、法務局の案内に示されています。①被相続人の本籍と登記上の住所と同じ住所が記載された住民票の写し、②同じく本籍と登記上の住所と同じ住所が記載された住民票の除票の写し、③戸籍の表示と登記上の住所と同じ住所が記載された戸籍の附票の写し、のいずれかです。法務局の「必要な書類とその入手先等」では、住民票の除票は被相続人の住所地の市区町村、戸籍の附票は本籍地の市区町村で取得するとされ、どちらも有効期限はないとされています。

住民票の除票は、住民票を消除したあとのものの写しで、住所地の市区町村が管理しています。戸籍の附票は、戸籍に記載された人の住所を記録した書類で、本籍地の市区町村が管理しています。除票と附票のどちらを取るかは、登記簿上の住所までのつながりが、どちらの書類に記載されているかによって決まります。これらの書類を取っても登記簿上の住所までつながらない場合の考え方は、別の記事で整理しています。

除票・附票の保存期間

住民票の除票と戸籍の附票の除票は、市町村長が、住民票や戸籍の附票を消除し、または改製した日から150年間保存するものと、住民基本台帳法施行令第34条に定められています。この保存期間は、令和元年(2019年)6月20日に施行された改正で、それまでの5年間から150年間に改められたものです。延長前に消除された記録の取り扱いや、実際に取得できるかどうかは、請求先の市区町村に確認するのが確実です。古い相続の手続では、書類を取れるかどうかを早めに確認しておくと、そのあとの進め方を決めやすくなります。

取り方:窓口・郵送・コンビニ交付

住民票の除票は被相続人の最後の住所地の、戸籍の附票は本籍地の市区町村に請求します。請求の方法、必要書類、手数料、請求できる人の範囲は市区町村により異なりますので、請求先の市区町村の案内で確認してください。窓口に行けない場合は、郵送での請求を受け付けている市区町村もあります。手数料は市区町村により異なるため、この記事では金額を記載しません。

マイナンバーカードを使ったコンビニ交付では、住民票の写しや戸籍の附票の写しなどを取得できる市区町村があります。地方公共団体情報システム機構の案内では、利用にはマイナンバーカード、またはスマホ用電子証明書を搭載したスマートフォンが必要で、取得できる証明書の種類は市区町村により異なるとされています。住民票の除票は、コンビニ交付の対象に含まれない市区町村もあるため、請求先の案内で確認し、対応していない場合は窓口や郵送で請求してください。

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つまずきやすい点

つまずきやすい点の1つめは、被相続人の登記簿上の住所と戸籍の本籍を見比べる前に、除票や附票を取ってしまうことです。両者が同じ場合には、住所をつなぐ書類は求められないとされているため、先に登記事項証明書で名義人の住所を確認し、戸籍の本籍と見比べておくと、不要な取得を避けられます。2つめは、住民票の写しにマイナンバーが記載されていないものを選ぶことです。3つめは、除票や附票を取っても登記簿上の住所までつながらない場合で、取得した書類の記載を見直したうえで、住所がつながらない場合の記事で整理している対処に進むことになります。

ほかの記事との関係

相続登記に必要な書類全体の一覧と、手続のパターンごとの必要書類は、相続登記の必要書類の記事で整理しています。出生から死亡までの戸籍の集め方は戸籍の集め方の記事をご覧ください。この記事は、そのうち住所に関わる書類だけを取り上げています。相続人の印鑑証明書や不動産の評価に関する書類など、住所以外の書類については、必要書類の記事から該当する項目をたどってご確認ください。

司法書士にご依頼いただける範囲

当事務所は司法書士事務所として、相続登記の申請の代理と、その前提となる書類収集のお手伝いに対応しています。どの書類が必要になるかは、登記簿上の住所や本籍、相続の進め方によって変わるため、取得する前に確認したいという段階からご相談いただけます。ご自身で取得を進める場合に、取得した書類が足りるかどうかの確認だけをご依頼いただくこともできます。

ご相談にあたって

当事務所の相続登記・相続手続きのご相談は無料で、着手金もいただいていません。ご依頼の際は、司法書士報酬のほかに登録免許税・戸籍等取得費などの実費が別途必要です。

遺産分割に争いがある場合の代理交渉・調停・訴訟は弁護士、相続税の申告・税務相談は税理士の業務領域です。当事務所は司法書士事務所として、相続登記・法定相続情報一覧図の取得・相続放棄の申述書など裁判所提出書類の作成等に対応し、必要に応じて適切な専門家をご案内します。

必要な手続き・書類・費用は個別の事情により異なります。ご自身のケースの見通しは無料相談でご確認ください。