相続登記を自分で進めるときに、「相続関係説明図」という書類を求められて、どう書けばよいのか迷う方は少なくありません。名前の似た「法定相続情報一覧図」との違いも、分かりにくいところです。この記事では、法務局が公表している案内と記載例にもとづいて、相続関係説明図とは何か、なぜ申請書に添えるのか、何を書くのか、法定相続情報一覧図とどう使い分けるのかを整理します。記載の細部は相続の内容によって変わるため、最終的には法務局の記載例でご確認ください。
相続関係説明図とは
相続関係説明図は、被相続人(亡くなった方)と相続人との関係を図にまとめた書類です。法務局の登記手続ハンドブックには、A4縦置きの相続関係説明図のイメージが示されています。相続登記の申請では、申請書とあわせて提出する書類のひとつとして案内されており、新しい所有者(相続人)または代理人が作成します。法務局が証明を付ける書類ではなく、申請する側が作って提出する書類である点が、後述の法定相続情報一覧図との大きな違いです。
なぜ申請書に添えるのか(原本還付との関係)
申請書に添付した書面は、申請人がその原本を保管する必要がある場合などには、原本の還付を請求することで、登記所での調査が完了した後に返してもらえます。通常は、還付を請求する書面のコピーを作り、「原本に相違ありません」と記載して署名(記名)押印したものを、原本と一緒に提出します。これに対して相続登記では、相続関係説明図を提出することで、登記原因を証する書面として添付した戸籍の証明書について、調査が完了した後に還付を受けることができます。この場合、戸籍の証明書のコピーの作成・提出は不要とされています。
原本の還付には限りがあります。その登記申請のためだけに作成した書類や、一定の重要な書類は、原本の還付を受けられないとされています。また、遺産分割協議書については、相続関係説明図とは別に、その謄本を提出する必要があると法務局の記載例に注記されています。還付を受けたい書類がある場合は、申請の前に、法務局で扱いを確認しておくと安心です。
何を書くのか(法務局の記載例より)
法務局が示している相続関係説明図のイメージでは、表題を「被相続人 ○○ 相続関係説明図」とし、被相続人については、住所、死亡の年月日、氏名(「被相続人」と付記)を記載しています。相続人については、住所、出生の年月日、氏名(「相続人」と付記)を記載し、被相続人と相続人を線でつないで関係を示しています。記載例には「この記載例を参考に、相続の結果に応じて作成してください」と添えられており、実際の相続関係に合わせて作ることが前提になっています。
遺産分割協議の結果、登記する不動産を相続しなかった相続人は、氏名の下に「(分割)」と付記する形で示されています。記載例の注記では、これは遺産分割協議の結果、相続財産中の不動産を相続しなかったという意味とされています。たとえば、配偶者と子2人で遺産分割協議をし、子の1人が不動産を相続した例では、不動産を相続した子には「(分割)」の付記がなく、相続しなかった配偶者ともう1人の子の下に「(分割)」と付記されています。
法定相続情報一覧図との違い
法定相続情報一覧図は、相続登記の申請とは別の制度である法定相続情報証明制度のなかで作られる書類です。相続人が、一覧図と戸除籍謄本等の束を法務局に提出し、登記官が認証文を付した一覧図の写しを無料で交付します。この写しを使うと、相続登記をはじめとする各種の相続手続で、戸籍の証明書の束の提出を省略できるとされています。一方、相続関係説明図は、申請人が相続登記の申請書に添えるために作る書類で、登記官が認証文を付けて交付するものではありません。
法務局の案内では、相続登記の申請に先立って、法定相続情報証明制度の利用を検討するよう勧められています。ただし、一覧図の写しを使う場合に相続関係説明図の提出をどう扱うかなど、併用の細かな取り扱いは、法務局の案内や記載例で確認してください。一覧図の取り方や使い道は、別の記事で詳しく説明しています。どちらの書類を使うか迷うときは、相続登記を申請する時期や、ほかの相続手続でも戸籍の束を使う予定があるかどうかを整理してから選ぶと、無駄が少なくなります。
記載例の確認先
記載例は、法務局のホームページ「不動産登記の申請書様式について」に、申請書の様式とあわせて掲載されています。相続・法定相続、相続・遺産分割、相続・公正証書遺言、相続・自筆証書遺言、数次相続など、相続の形に応じた記載例があり、遺産分割の記載例には相続関係説明図の例が含まれています。また、法務省民事局の登記手続ハンドブックにも、相続関係説明図のイメージが掲載されています。ご自身のケースに近い記載例を選び、判断に迷うところは法務局にお問い合わせください。
作るときに気をつけたい点
相続関係説明図は、戸籍の証明書で確認できる内容にもとづいて作ります。相続人の人数や関係が複雑な場合や、数次相続のように相続が重なっている場合は、記載例も別に用意されているため、該当する記載例を確認してください。なお、登記申請書に書く相続人の住所と氏名は、住民票の写しに記載されているとおりに書くよう案内されています。申請書と添付書類の全体の書き方は、申請書の書き方の記事と必要書類の記事で整理しています。
司法書士にご依頼いただける範囲
当事務所は司法書士事務所として、相続登記の申請の代理と、相続関係説明図を含む法務局への提出書類の作成のお手伝いに対応しています。ご自身で書類を作成される場合に、記載内容に不安があるところだけをご相談いただくこともできます。相続人の範囲や、遺産分割協議の結果に応じて「(分割)」を付記する人が誰になるのかなど、図の組み立てに迷う段階でも、お気軽にご相談ください。
ご相談にあたって
当事務所の相続登記・相続手続きのご相談は無料で、着手金もいただいていません。ご依頼の際は、司法書士報酬のほかに登録免許税・戸籍等取得費などの実費が別途必要です。
遺産分割に争いがある場合の代理交渉・調停・訴訟は弁護士、相続税の申告・税務相談は税理士の業務領域です。当事務所は司法書士事務所として、相続登記・法定相続情報一覧図の取得・相続放棄の申述書など裁判所提出書類の作成等に対応し、必要に応じて適切な専門家をご案内します。
必要な手続き・書類・費用は個別の事情により異なります。ご自身のケースの見通しは無料相談でご確認ください。