相続登記の準備を進めていると、「固定資産評価証明書を取ってきてください」と言われたり、ネットで必要書類として見かけたりします。一方で、毎年届く固定資産税の通知書で足りるという説明もあり、何を取ればよいのか迷いやすい書類です。この記事では、相続登記でなぜ不動産の評価額が必要になるのか、評価証明書はどこで誰が取得できるのか、課税明細書で代わりになる場合の考え方を、法務省と自治体の案内をもとに整理します。

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なぜ相続登記で不動産の評価額が必要なのか

相続登記を申請するときは、登録免許税を納める必要があります。法務省の登記手続ハンドブックによると、登録免許税額は原則として課税価格に税率を乗じて計算し、相続による所有権の移転の登記の税率は1,000分の4とされています。この課税価格にあたるのが、市区町村が管理する固定資産課税台帳の価格です。登記申請書には、この価格を課税価格として記載します。

ここでいう「価格」は、固定資産税の評価額のことです。ハンドブックでは、固定資産課税明細書で一般に「価格」または「評価額」と表記されている価格であり、「固定資産税課税標準額」ではないと注記されています。なお、登録免許税が免税される場合には、課税価格の記載自体が不要とされています。計算方法や免税措置の詳しい内容は、登録免許税の記事で整理しています。

評価証明書の取得先と請求できる人

固定資産評価証明書は、不動産の所在する市区町村が発行します。窓口は市区町村により異なり、たとえば横浜市では、最新年度分は区役所の税務課窓口で取得でき、郵送や過年度分の請求は不動産のある区の区役所が窓口になるとされています。東京23区の場合は、固定資産に関する証明を各区の都税事務所が扱っており、東京都主税局の案内では、23区内に限り他区の資産についても申請できるとされています。手数料も自治体により異なりますので、申請先の案内をご確認ください。

請求できる人も自治体の案内で定められています。東京都主税局の案内では、相続人や遺贈を受けた方などが申請できる方として挙げられ、先順位の法定相続人が存命の場合、後順位の方は法定相続人とはならないと説明されています。相続人が申請するときは、申請者の本人確認書類のほか、戸籍謄本や法定相続情報一覧図といった相続関係の分かる書類が求められるのが一般的です。横浜市でも、相続人の請求には、相続関係を確認できる書類が必要とされ、遺産分割協議にもとづく場合は協議書と印鑑登録証明書の提示が示されています。必要書類は自治体ごとに異なるため、事前に確認しましょう。

固定資産税の課税明細書で足りる場合

毎年、市区町村から届く固定資産課税明細書(納税通知書に添付されている明細)には、固定資産課税台帳の価格が記載されています。法務省のハンドブックは、課税価格は固定資産課税明細書に記載された価格によって確認できるとし、その明細書を紛失しているなどで価格を確認できない場合は、市区町村が発行する固定資産税の課税証明書などで確認できると説明しています。横浜市も、不動産の登記申請の際に固定資産の価格を確認できる書類として、課税明細書を利用できると案内しています。

つまり、評価証明書が常に必須というわけではなく、手元に最新の課税明細書があれば価格を確認できる場合があります。ただし、手元に課税明細書がない場合や、明細書に載っていない不動産がある場合は、市区町村で証明書を取得して確認することになります。公衆用道路(私道)などで固定資産課税台帳に価格がない場合は、法務局が認定した価格になるため、管轄の法務局に問い合わせるよう案内されています。具体的にどの書類で足りるかは、申請先の法務局で最終確認すると確実です。

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年度の扱い・名称の違いに注意

証明書の年度については、自治体の案内を確認する必要があります。たとえば東京都主税局のよくあるお問合せでは、登記の申請日がその年の1月1日から3月31日までの場合は前年12月31日現在、4月1日から12月31日までの場合はその年の賦課期日(1月1日)現在の固定資産課税台帳の価格を記載した証明が必要と示されています。また、新年度の評価証明は毎年4月1日から発行されると案内されています。これは東京都の案内であり、他の自治体の取扱いと一致するとは限りません。

証明書の名称や用途の区分も、自治体により異なります。横浜市では、令和8年1月から土地・家屋の固定資産に関する証明書の様式・種類が変わり、不動産登記申請(登録免許税の算定)の用途は「公課証明書」に、「評価証明書」は訴訟物の価格算定などの用途に整理されています。窓口で「相続登記に使う」と伝え、登録免許税の算定に使える証明書を出してもらうと、取り違えを避けられます。

名寄帳との違い

評価証明書は、請求した不動産について価格などを証明する書類です。これに対し、名寄帳は納税義務者ごとに各資産の所在地や評価額をまとめた台帳で、横浜市の案内では相続時の参考資料などの用途が挙げられています。東京都主税局も横浜市も、名寄帳を評価証明書とは別の証明書として、別の手数料で案内しています。亡くなった方の不動産をもれなく洗い出す方法は、次の記事で整理しています。

司法書士に任せられる範囲

司法書士は、相続登記の申請の代理に加え、評価額の確認や登録免許税額の算定を含む申請書の作成、そのための書類収集の補助を行うことができます。どの不動産の価格をどの書類で確認するかを整理したうえで申請書にまとめられるため、書類の取り違えを減らせます。一方、相続税の評価や申告の判断は税理士の業務領域です。

ご相談にあたって

当事務所の相続登記・相続手続きのご相談は無料で、着手金もいただいていません。ご依頼の際は、司法書士報酬のほかに登録免許税・戸籍等取得費などの実費が別途必要です。

遺産分割に争いがある場合の代理交渉・調停・訴訟は弁護士、相続税の申告・税務相談は税理士の業務領域です。当事務所は司法書士事務所として、相続登記・法定相続情報一覧図の取得・相続放棄の申述書など裁判所提出書類の作成等に対応し、必要に応じて適切な専門家をご案内します。

必要な手続き・書類・費用は個別の事情により異なります。ご自身のケースの見通しは無料相談でご確認ください。